内容説明
本書は、気候変動がさまざまなレベルでの難問をもたらすことを指摘する。それは、分断されていても相互に依存しあっているこの世界において、われわれが共に分かち合うたったひとつの環境である地球をどのように管理していくかという、地球上のすべての人々に対する課題である。そしてまた、国籍や年齢を問わず社会正義と人権をどう捉えるかという課題であり、さらには富裕国の政治的指導者や国民にこの問題に関する彼らの歴史的責任を認識させ、温室効果ガス排出削減の大幅かつ迅速な削減に着手させるという課題である。とりわけ共通の価値観や視野の上に立って迅速かつ強力な行動を起こすという人間社会全体の課題をこの報告書は指摘している。
目次
第1章 21世紀の気候変動問題(気候変動と人間開発;気候科学と未来のシナリオ ほか)
第2章 異常気象の衝撃―不平等な世界におけるリスクと脆弱性(異常気象の衝撃と人間開発レベルの低さという落とし穴;先を見通す―これまでの問題と新たな気候変動が抱えるリスクの問題 ほか)
第3章 危険な気候変動を避ける―緩和への戦略(緩和の目標設定;炭素の価格化―市場と政府の役割 ほか)
第4章 避けられない気候変動への適応―国としての行動と国際協力(国としての挑戦;気候変動への適応に関する国際協力)
人間開発指標(人間開発をモニタリングする―人々の選択肢の拡大;健康で長生きするために ほか)