内容説明
糸と針と女性たちの物語と。モダンで美しい柄と小物の78点。
目次
第1章 知って楽しむ刺し子(刺し子のフォークロア;幾何学柄にこめられた家制度―福島・山形・秋田;刺しはじめたら止まらない―山形 ほか)
第2章 訪ねて楽しむ刺し子(士族の刺し子「上杉花雑巾」―米沢;山の神に捧げる刺し子―遊佐;音楽のように増える刺し子―弘前 ほか)
第3章 つくって楽しむ刺し子(枡刺し;ガンゼ刺し;麻の葉 ほか)
著者等紹介
林ことみ[ハヤシコトミ]
ニット、刺繍、ソーイングなどの手仕事にまつわる楽しい読み物でおなじみの手芸ジャーナリスト。ハンドメイドの本の企画や編集も数多く手がけている。一方、海外に日本の手芸を積極的に紹介し、2013年にスウェーデンで開催された「刺し子展」の窓口を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
21
寒いエリアの手芸が大好きな自分にはたまらない刺し子の本です。作り方だけでなく、その歴史や実際残っている作品が紹介されていてうっとり。また、実用的な作品が多数紹介されていて、表紙でもある靴のインソール刺し子には驚かされました。もう20年ぐらい着ている藍染めの服がかなりくたびれてきたので、刺し子してみようかなあ。…でも、今は去年よりずっと取り組んでいるスコットランドのニット、サンカにかかりきりなんですよね~…。2020/10/10
さいちゃん
12
図書本。90歳のおばあちゃんにも見せてみました。昔の記憶がよみがえってきたのか「ばあちゃんの時代は、糸を買うお金もなくて、着物を細く裂いて刺繍を楽しんだもんだ」と話してました。昔からの模様や知恵。素敵な手仕事です。2015/02/08
春葉
10
刺し子は可愛らしいくて好きですが、昔は人々の知恵で布を強くし長く使うためにされていたんですね。細かく縫っている古い品を見ていると囲炉裏のそばでて仕事している様子が見えるようです。ギンガムチェックの模様を一目にして刺していく方法は目から鱗でした。2015/10/13
ユウティ
5
刺し子の歴史を読みたかった(なかなか見つからない)ので、とても良かった。東北各地の刺し子のあれこれ、その品々、図案がバランスよく載っていた。労働に用いた衣服や雑貨で、シンプルに全面横方向に刺したもの、驚くほどデザイン性に優れたもの、生地が見えないくらい刺繍で埋めつくされたものなどどれも目を見張った。後半は刺し方。少し分かりにくいかな。流れや竹格子、市松など上杉の模様が初めましてで素敵だった。豆しぼりに米刺しが素晴らしく可愛いくて作りたい。あとがきの『刺し子の訳語を縫う織物を意味する語にしたい』のが分かる。2025/02/23
まりこ
2
小学生の頃、友達の家で機織り機を見て以来、私には機織りに強い憧れがある。美しい模様に埋めつくされた刺し子はまるで織物のようで、これにも強く惹かれる。寒さ厳しく、貧しい東北の農村、漁村でうまれた刺し子は、生地目を埋め、生地を厚くすることで寒さを凌ぎ、また、貴重な布を長持ちさせるための生活の知恵だった。貧しさの中で、必要に迫られて生まれた刺し子が、これほどまでに美しいとは。先人の意地と矜持に目の前が明るくなる。手間を惜しまないものは美しい。心が震えるほど。刺し子、かっこいいな。2015/09/26