内容説明
ベートーヴェン後期の傑作の偉大な創造の秘密。多くの謎につつまれた『ディアベリの主題による33の変奏曲』―フランス文学の鬼才が、音楽史上にそびえる傑作を読み解き、その宇宙的な謎にせまる。
目次
提案
解説
演奏
反復そして解説
演奏、つづき
最後の反復
反歌
感想・レビュー
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松本直哉
25
一つの宇宙ともいうべきベートーヴェンの畢生の大作に向き合って、それに比肩する何かを言葉で築きあげる試みと言えばいいだろうか。様々の様式が混在する原曲と同じく、講演やメモや詩などの異なる文体を交互に織り交ぜ、詩的なイメージから出発して数の象徴から占星術や宇宙論や神話まで言及する著者の語り口には、この巨大な音楽への愛と敬意が垣間見える。第5変奏「湧き出る泡」第10変奏「雨の中を駆けてゆくふたりの子供たち」第17変奏「金床」のように、すべての変奏に標題をつけていて、作曲家が聴いたらびっくりするだろう。 2021/12/07