内容説明
ベートーヴェンほど誤解されて来た芸術家は少ない。耳の障害やまずしさをのりこえて偉大な音楽を創った、人の世とおりあいの悪い〈楽聖〉。へんくつで女性に「もてない」人。しかし残された資料から見ると、彼は恋愛においても、成功者であった。彼の「不滅の恋人」とは誰か。それは長いあいだ論じられて来たが、ここにドラマティックにとき明された。音楽とのかかわりもまた。スリルにみちた謎ときが始まる。
目次
プロローグ(謎の手紙;〈不滅の恋人〉に擬せられた女性たち;ベートーヴェンの“神話化”)
第1章 青春の輝き(運命の出会い;愛と死の誘惑;美しき伯爵夫人 ほか)
第2章 恋人としてのベートーヴェン(ベートーヴェンの女性観;音楽についてのベッティーナとの対話;シングル・ライフの先駆者 ほか)
第3章 1812年夏・ボヘミア(《手紙》の年代はいかにして確定されたか;《不滅の恋人》は誰か?―その条件 ほか)
第4章 運命の星の下で(ヨゼフィーネの再婚と苦境;悲劇の終焉;『第九交響曲』と最後の日々 ほか)