内容説明
謎の民族ケルトが残したものはなにか?ヨーロッパ文化の隠された基層、ケルト的想像力の核心へ、聖書写本をはじめとする装飾の森へ分け入って迫る俊英の画期的論考。
目次
序章 西のトポス―アイルランド修道院文化
第1章 装飾の系譜―写本芸術の伝統
第2章 ケルトの想像力―変形から幻想へ
第3章 渦巻文様の神秘学
第4章 北方動物の変容主義
第5章 組紐空間の呪縛
第6章 世界文様
第7章 ケルト復興
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カケル
9
さらに助走として。ケルト文様について歴史的、包括的知識が得られる好著。しかし、異様な執念を感じさせる紋様の世界に、テッド・チャン『あなたの人生の物語』の書法体系ヘプタポッドBを想起してしまった。2024/03/06
しろうさぎ
5
30年ぶりの再読。その頃『薔薇の名前』で「ケルト写本」の存在を知り、アール・ヌーヴォーのケルト文様にも惹かれていたのが、こんな専門書に手を出した動機だ(バブルで高値の単行本も平気で買っていた時代)。消化しきれず、美しいカラー口絵と、手のこんだ書きおこし図を眺めただけでしまっていた。今回は、他(特にローマ)文化圏装飾との違いなど、少しは読み込めたか。枠の枷が外れたら最後「うねり絡み旋回しながら、写本の頁から溢れ出して」しまいそうな、蛇体的迫力。ヨーロッパ文化の源泉の一つでありながら、やはりまだ理解不足だ。2020/10/20
takao
1
☆渦巻き模様 2019/11/02
ヒラタ
1
アイルランドの地名や初めてきく人名等整理できてないのですが、とても興味深く読めました。ロマネスク教会でも見ることのある「頭」の彫刻のことも教えられましたし、何より魅惑的なケルトの紋様を解りやすく図で抜いてくれていたので改めてじっくりと見ることができました。2017/11/19
ぱせり
0
「アイリッシュ・ハープの調べ」を読んだ時に、挿絵のケルト文様に魅了された。これらの文様に意味があるなら知りたい、と思ったとき、この本をご紹介いただきました。ありがとうございました。豊富な図版はありがたい。この文様はケルトの人びとの祈りであり呪詛でもあった。2009/04/18