内容説明
文化研究におけるディアスポラ概念を精確にうけとめた上で、この概念をより広い文脈のなかに位置づける。生きた現実とディアスポラの理論や思想をたえずつきあわせながら、この概念を経験的な次元からさらに別の次元へと解き放つ。移動を続ける批評家の果敢な試み。
目次
序章 「今ここ」のディアスポラ
第1章 二つの旅する批評―サイードとギルロイ
第2章 ラグタイム―ディアスポラと「路地」
第3章 翻訳者、脱党者、漂流者―ディアスポラのなかの中井正一
第4章 戯曲版「ブラック・ジャコバン」をめぐって
第5章 文化研究におけるバフチンの友人たち
第6章 ディアスポラとノマド―「保証なき主体」の境位をめぐって
終章 離散する近代