内容説明
愛すべき日本の酒、東京の町。赤提灯に誘われ、酒と町の歴史にどっぷり身を浸した現地調査体験記。
目次
第1章 セーラー服とモツ焼き(溝口)
第2章 おけら街道のヤケ酒(府中・大森・平和島・大井町)
第3章 パラダイス三昧(洲崎・木場・立川)
第4章 カウンター・カルチャー(赤羽・十条・王子)
第5章 八軒ハシゴの一夜(お花茶屋・立石)
第6章 焼き台前の一等席(西荻窪・吉祥寺)
第7章 Le Kunitachi(国立)
著者等紹介
モラスキー,マイク[モラスキー,マイク][Molasky,Michael]
1956年米国セントルイス市生まれ。シカゴ大学大学院東アジア言語文明学研究科博士課程修了(日本文学で博士号)。ミネソタ大学教授を経て、一橋大学社会学研究科教授。日本語の著書は『戦後日本のジャズ文化』(青土社、サントリー学芸賞受賞)など。また、ジャズ・ピアニストとして日本のライブハウスに出演することもあり、2010年にはピアノ・ソロのCDを発売(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
33
米国人社会学者による居酒屋愛の書(文庫版あり)。産業、文化現象、歴史遺産としても考察し、居酒屋放浪も楽しい。溝の口や赤羽、立石の描写には詩情がある。「おけら街道のヤケ酒」実感のため競馬に挑む稚気に拍手したい。西荻や国立など地元店への愛着ぶりが微笑ましい。闇市や色街の痕跡、商店街、居酒屋への傾倒が、「濃厚な過去の空気への思慕」だとの話に共感した。東京の裏面史探索や都市文化への拘りはデリケートな問題を含むが、自分は面白く読んだ。本書の様な評論が楽しまれる寛容な文化の国であって欲しい。2018/01/07
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
24
平松洋子さんのエッセイで紹介されていたので読んでみた。居酒屋本というより、東京の居酒屋を巡る地域の歴史本のような感じ。国立の章で吉田類さんが出て来たので、うれしくなってしまった。2015/06/30
メルセ・ひすい
6
愛すべき日本の酒、東京の町。赤提灯に誘われ、酒と町の歴史にどっぷり身を浸した現地調査体験記。「セーラー服とモツ焼き」「パラダイス三昧」「焼き台前の一等席」など、7章で構成。☆セーラー服とモツ焼(溝口) ☆おけら街道のヤケ酒(府中・大森・平和島・大井町) ☆パラダイス三昧(洲崎・木場・立川) カウンター・カルチャー(赤羽・十条・王子) ☆八軒ハシゴの一夜(お花茶屋・立石) ☆焼き台前の一等席(西荻窪・吉祥寺) ☆Le Kunitachi(国立) 2013/01/30
子音はC 母音はA
5
単なるその街の居酒屋探訪ではなく歴史的経緯を踏まえた視点で織り込まれている。堅苦しい本ではなかったが少々こだわりが強い。でも全体的に貫く軽妙な形かつ含蓄がある文章は芸が深いと思わせる。異人の眼の自由さ、闊達さは侮れない。2014/07/10
nizimasu
5
昔風にいえば、青い目の居酒屋探訪記というのだろうか。日本の居酒屋に魅了されたアメリカ人による居酒屋案内はとにかくディテールの細かい町並みの紹介。さらには、店主や客との細かいやり取りを徹底的に書いていく。その密度たるや濃厚で、居酒屋愛がほとばしるよう。この暑苦しくも、好奇心おう盛な感じこそ、ストレンジャー感満載で昨今のネットで検索してからそれを追確認するのとは全然アプローチが違う。いきなり溝ノ口で始まり、とどめは国立。これまたいちいち渋い2013/03/04