目次
1 南へ、果ての島々へ(ニライの海に弥勒の神が舞う―黒島;生まり島かなさ…島の人口、ただいま七人―水納島(宮古) ほか)
2 封印された時間(笑顔の少年、それぞれの四一年―伊是名島;絶海の孤島に微笑む「嫌日」米軍人の銅像―南大東島 ほか)
3 清ら海はどこに(宙に舞った「振興策」―下地島;つづく埋め立て“美ら海”の誇りどこへ―平安座島 ほか)
4 辺境の有事(“沖縄の苦難”語る三本の滑走路―伊江島;復帰三十余年いまだ還らぬ「沖縄の空」―与那国島 ほか)
5 いま、島に吹く風(真夜中の老人ホームに島唄が流れる―石垣島;幻の秘祭 女が神になったとき―久高島 ほか)
著者等紹介
森口豁[モリグチカツ]
1937年東京生まれ。フリージャーナリスト。琉球新報社会部記者や日本テレビの沖縄「特派員」として、米軍統治下の沖縄で長らく暮らし、沖縄の日本「復帰」後も、ドキュメンタリー番組の制作や著作活動を通して「沖縄」を報じつづけている。「沖縄を語る一人の会」主宰
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感想・レビュー
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Machida Hiroshi
5
本書は、東京生まれながら、占領下の沖縄から復帰後の沖縄に長く住み、記者として沖縄の実態を報じてきた筆者が、よう沖縄に数多ある有人の離島を実際に訪れて書いたルポです。アメリカの占領下では、軍事基地のある本島は、ある程度整備されましたが、軍事政権なので、軍事価値がない離島は打ち捨てられていたようで、貧困に喘いでいたようです。そこで、日本復帰に期待したのですが、核抜き本土並みは裏切られ、離島には恩恵がなく、苦しい暮らしはさほど改善しないまま現代に至っています。そんな離島苦の話が続いて悲しい気持ちになります。2020/08/27
Hiroki Nishizumi
2
自分のような島好きにはたまらない本。ますます沖縄の離島へ行きたくなる。また文も上手い。元気をくれる過疎の島、そしてまた島から医者が消えた、ビルの高さで文化は計れない、等々…2012/05/24
kitakama633
2
読んでいて辛い。毎年宮古島を訪れていますが、宮古島には戦争の爪痕、米軍基地はありません。6月23日沖縄「慰霊の日」前後に訪沖予定。これまでちょっと「行けないな」って思っていたけど、普天間のこともあり、今回は本島にも滞在予定。2011/05/18
村瀬風
1
「島」ごとにまとめられた記事は、それぞれテーマが明快で、文体には文学的な香りがあり、長さもほどよく読みやすい。長年の沖縄での取材経験を活かした、島人へのインタビュー成果は貴重なものと思われる。それらは内側から眺めた「沖縄」を提示してくれる。宮台真司の解題は、さらに、そのような「沖縄」を、彼なりの思想的文脈の中に位置付けてみせる。こちらも読み応えがある。2015/08/26
こひた
1
「沖縄」とくくるのすら難しい2013/10/11