内容説明
18世紀から19世紀初頭にかけてのロシア貴族の日常生活を興味深く述べ、この時代の貴族がもっていた可能性を再評価し、ロシア精神史・文化史の見直しを迫る名著の翻訳。記号論の権威者による文化記号論・歴史記号論の具体的な例示。
目次
第1部 男性社会と女性社会
第2部 生活のなかの演劇性
第3部 もうひとつのロシア精神史―ロシア貴族の日常と非日常
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱぴ
3
18世期〜19世期ロシア貴族の文化や日常生活における実践、態度における著述。ロシア文学に無知な私には非常に難解な部分が多かったけれど、当時の女性社会、芸術の役割、賭け事の流行、決闘におけるマナー、ロシア式騎士道精神、ナポレオン戦争後の民衆文化との融合等、興味深い内容だった。当時はフランス語を流暢に操れることが貴族としてのマナーであり明確な差別化があって、一国における言語の重要性が垣間見れた。また、詩が日常生活に非常に密着していた。農奴制という犠牲があった上で成り立つ文化であることも忘れてはならない。2021/07/17
トム
1
最近レールモントフにハマってるので。19世紀ロシア文学読む上で必携の書。ロトマンの中でも簡単。なんとなくわかった気になって読んでいた賭博とか決闘、結婚といった文学上事象への捉え方が変わる。ロマン主義時代は紋切り型との闘いというバイロン主義そのものが紋切り型だったというジレンマ…特に興味深かったのがp.175の「腰が細いのが男性美とされた」という記述。ロシア文学の計り知れないポテンシャルが感じられた。しかし第二章の女性の方が感受性豊かなので〜的記述はいただけない。こーゆー言説を破壊するために、私は生きたい。2021/01/11