出版社内容情報
地下に累々と埋もれる東京の「骨」をめぐる鎮魂行。震災と空襲の両国。小伝馬町牢跡。小塚原刑場跡……。東京の記憶を掘り起こす。
内容説明
アスファルトの下、累々…。震災と大空襲の両国。小伝馬町の牢屋敷跡、小塚原の仕置場跡…。無数の骨灰をめぐり、忘れられた東京の記憶を掘り起こす、鎮魂行。
目次
ぶらり両国
新聞旧聞日本橋
千住、幻のちまた
つくづく築地
ぼちぼち谷中
たまには多磨へ
しみじみ新宿
両国ご供養
著者等紹介
小沢信男[オザワノブオ]
1927年東京新橋生まれ。日本大学芸術学部在学中、「江古田文学」掲載の「新東京感傷散歩」を花田清輝に認められ、53年「新日本文学会」に入会。『日本の百年』シリーズ第二巻を松本三之介らと執筆、また、花田清輝、長谷川四郎、佐々木基一と戯曲を共作するなど、共同制作に積極的に参加。小説、詩、俳句、評論、ルポルタージュなど多ジャンルにわたり執筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shio
24
小説『骨灰』を読み、興味を持ったテーマだったので読んでみたけど、読み辛い!独り言みたいな文体で何を言ってるのか判らなくなり、あちこちと飛ぶ話題に気を削がれて、内容が頭に入ってこない…。江戸の大火や刑死、彰義隊、震災、戦災、スペイン風邪など東京の歴史を地理と共に学びたいと思ったんですが残念。2023/06/15
松本直哉
15
明暦の大火、安政の大地震、彰義隊の上野戦争、関東大震災、東京大空襲…丹念なフィールドワークで歴史の痕跡をたどりながら飄々とした語り口で語られる死屍累々の東京の歴史。吉原の娼婦が死ぬと着物を剥ぎ取られて菰に巻かれて穴に放り込まれたこと、読んでいて胸がつまる思い。アスファルトで固められて摩天楼のそびえ立ついまの街並みの下に無数の無名の死があることを忘れてはならない。忘れないことがせめてもの供養なのかもしれない。2016/06/23
yuzuriha satoshi
12
これからは都心を歩くと一歩ごとにポキポキと骨を踏みつけた音がするような気がしてきます 重い事柄を洒脱な文章で画く小沢さんが3.11どう受けとめているのか 聞いてみたくなりました2013/07/06
いくっち@読書リハビリ中
6
鼠小僧の墓のある両国回向院より牢屋敷のあった小伝馬町へ。そして刑場のあった千住・小塚原(骨が原)の回向院へ。杉田玄白が首を切られた刑者の体で腑分けを行い「解体新書」を完成させた。次の築地散策では蘭学の泉の石碑が立っている。ウォーキングをずっとやっていて常々思うことは東京の墓巡りだ。歴史ある場所はどこもかしこも骨が埋まっている。図書館で借りる本ではない。1冊持って小沢信男氏と歩くのだ。なのにweb本屋はどこも売り切れってどういうことー!2010/01/24
らいしょらいしょ
4
著者はけっこうお年を召していらっしゃるとか。ほう…そう思えばこういう見方で東京をめぐるのは、納得いくか。ちょっとはずれた感想になるけど、私ゃ、よく歩く、驚くほど好奇心をもって歩くご老人を尊敬している。東京に限らないけど、骨灰の上に今の文明社会がある。かつてそこに何があったかは、知れば確かにえげつないものもあるが、著者のかるい文体に、そういう重さも拭い去られるような気がする。2015/08/29