内容説明
待ちわびた解放の喜びによるお祭り騒ぎや、対独協力をめぐる摘発と粛清が吹き荒れるパリの混乱した様子を活写する迫真のドキュメント。本日記のクライマックスを迎え、喧騒のさ中を歩む孤独な魂の軌跡が鮮かに際立つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
最終巻は1944年1月からフランスが連合軍に解放され、ドイツが降伏する直前の1945年4月まで。この頃、コクトーは戦後すぐに制作に着手する「美女と野獣」の準備に取り掛かっていた。しかし、連合軍がフランスに上陸し、パリも占領ドイツ軍とレジスタンスとの市街戦を経て解放。問題はむしろ解放後に表面化。戦闘の最中にも降伏したドイツ兵を暴行する市民達、親独ＶＳ抗独で分裂するフランス人同士の戦闘、そして占領終結後の「身の潔白の証明」問題がやってくる。誰もが自分の潔白を主張し、他人の売国行為を密告という陰惨な日々だった2017/10/18
