内容説明
“お稲荷さん”の始まりは土着的な稲作の神さま。密教と結びつき、キツネが絡まり、庶民の願望を叶えてくれる神へと展開する過程を文献学・民俗学で解明。
目次
稲荷明神の原像
稲荷信仰と仏教―密教系稲荷信仰の成立
稲荷明神とキツネ
稲荷信仰の展開
稲荷と民衆生活
伏見稲荷大社の火焚祭―付・朱の鳥居
稲荷講の今昔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
「キツネは、稲荷明神そのものではなく、その神使としての霊獣とされていた…江戸後期の国学者前田夏蔭が『稲荷神社考』のなかで、上代古典にみえる神々の使者として、猪、蛇、猿、亀、鹿、鳩、烏などが登場する例があるのを引用…稲荷のキツネも、その一つであると論じている。近世に広く流布した稲荷明神の神影は、稲束を荷った老翁でキツネをとまなった形と、白狐に乗った女神の形という二つの型に分けられるのであり、一般に前者は伏見系、後者は豊川系であるなどといわれているが、いずれにしても、キツネは明神の使者もしくは乗物なのである」2021/10/18