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内容説明
14歳のとき実父に犯されて5人の子を産んだ娘の殺意。1973年、最高裁大法廷は、尊属殺人罪の違憲判決を下した。わが国刑法の歴史を塗り替えた画期的判決の背後に、過酷な運命を背負って生きようとしたひとりの女性の痛哭の涙があった。長編書き下ろしノンフィクション。
目次
1章 父親殺し勃発
2章 父親に犯される
3章 母親語る
4章 綾子、これまでを語る
5章 小さな命
6章 確執
7章 起訴
8章 第一審判決
9章 第二審判決
10章 最高裁判決
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
13
名著。ただし目を背けたくなるような辛い本だ。希望もあるけど。ちくま文庫あたりで復刊希望!2014/05/11
ライアン
9
Twitterで50数年前この事件について知り、図書館で借りてみた。とにかく父親の鬼畜ぶりというか非道ぶりに虫唾が走る。それとともにこうなる前にどうにかできなかったのかとも・・・。事件をおこした娘さんがその後幸せに暮らせていると良いのですが2023/10/31
那由田 忠
8
一審で違憲判決の上に刑の免除が出たのに対して、二審の高等裁判所は合憲で懲役3年半の実刑。最高裁は違憲で、懲役2年半で執行猶予。高等裁判所の裁判長は「被告人のお父さんの青春を考えたことがあるか。男が30歳から40歳にかけての働き盛りに何かも投げ打って被告と一緒に暮らした男の貴重な時間をだ」と非難したらしい。セクハラで訴えてやりたいくらいの大馬鹿裁判官だったのだ。今でもこの種の裁判官が残っているのかな…2013/07/15
北条ひかり
7
3時間26分。音声デイジー。奈良県視覚障害者福祉センターと音訳者さんに感謝。尊属殺重罰規定違憲判決のケースは、あまりにも陰惨で、正直触れたくないものだったが、「現代理論法学入門」の憲法解釈論で取り上げてあったので、聴いてみることにした。僕自身は親にネグレクトされただけだったので、この事件の被告人と比べると、どれだけ幸せだったかを思い知った。親からの性的虐待など、断じて容認できない。日本では戸籍がまだ運用されているが、家族を基本として・個人を蔑ろにする家制度の残滓はいつになったら払拭されるのだろうか。2016/10/15
ナツ
6
父娘の近親相姦による、妊娠から出産(五人)、中絶までを経てからの娘による殺人!尊属殺人罪は免れ(違憲として)執行猶予がついた事に関しては良かった、というか当然だと思うが、何よりも14歳からこのような人生を強いられた綾子さんが可哀想過ぎて言葉が出ない・・ こんな時代もあったという事を多くの人にもこの本を読んで知ってもらいたい!2015/02/18