内容説明
アラビアのロレンスには「鉄面皮の山師」と呼ばれ、ルーズヴェルトには「鉄の意志をもった王」といわれた男。第一次大戦後、オスマン・トルコの軛を脱し、英仏の植民政策に抗しつつ、イスラムの宗教的理想と、絶え間ない戦い、100回以上ともいわれる政略結婚とにより、遊牧の民ベドウィンを統一して、いち早く「サウドのアラビア」を打ち立てた男。地下水とともに石油を掘り当て、アメリカとの深い関係のもとに近代化を推し進め、一代で王国の基礎を築きあげた男。沈思黙考、疾風迅雷、「リアドの豹」イブン・サウドの波瀾万丈の生涯を描き尽くす。
目次
第1章 動と不動
第2章 ネジドの征服
第3章 アラビアの征服
第4章 サウジアラビア
第5章 西側のとりで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まー
5
ガートルードベル、TEロレンス、アタチュルクにつづく中東に関わった白眉シリーズと勝手に名付けて読んでいます とても良い作品でしたさて次は誰にしようかな2023/04/05
ELW
0
違和感はないが、イエメンなど海岸部から余剰人口は北行するしかなかったことをどのように証明できたのかな。ホメイニ以前から、イマムの称号は普通に用いられているんですね。名門ハシム家が負けたのがよくわかった。ブレトンウッズ体制発足後でも、ドル石油とポンド石油とはしぶといものだ。イランのクーデターでチャーチルが「でかした、若いの!」と膝を打ったとされているの思い出した。イスラーム原理主義とは無関係に、中東一帯のナショナリズムを叙述しているのはありがたい。アサド以前のシリアなんてわざわざ調べないから。2022/08/15
itokake
0
サウジアラビアは「サウード家のアラビア」。サウード家の他にも様々な部族が入り乱れた地域。アラブの部族は砂漠の砂に似ていて、こぶしの中に握りしめても塊にすることはできない。それをまとめ上げたアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードのサウジアラビア建国までの物語。11才のとき、黒人奴隷の足の間から見た敵対者達が血しぶきをあげて殺されるシーン。ルブアルハリ砂漠で飢えと乾きに苦しんだ13才の頃。若い時の苦労とストイックなワッハーブ派の教義が彼を強くした。マスマク城(リヤド奇襲)は22才で達成。統一への第一歩だった。2020/04/09