出版社内容情報
哲学史上、不朽の名著とされるカント『純粋理性批判』。ドイツ本国を中心とした研究の進展による新資料の発掘、そして厳密なテキストクリティーク。訳者が畢生の仕事として残した全面新訳。
内容説明
理性自身が生みだす仮象(まやかし!)の発見と、その解決に奮迅するカントの思想遍歴の到達点。『実践理性批判』『判断力批判』へとつづく、三大批判の第一の書。哲学史に聳える最高峰。
目次
1 超越論的原理論(超越論的感性論;超越論的論理学)
著者等紹介
石川文康[イシカワフミヤス]
1946年、北海道生まれ。同志社大学大学院博士課程修了。ハイデルベルク大学、ボン大学に留学。ミュンヘン大学、トリアー大学にて客員研究。東北学院大学教授、日本カント協会役員を歴任。専攻はカントを中心とする近世ヨーロッパ哲学。哲学博士(Dr.phil.)。2013年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
31
デカルトやスピノザやヒュームが感覚について探求しているのを、現代の我々は物足りなく読んでいるはずだ。その中で、似たようなことをしているカントが特別だという印象を受けるのは、人間の能力を限界づけたことにあるのではないか。それは、ウィトゲンシュタインと同類の驚きとして受け取れる。が、カントは沈黙しない。「アプリオリな総合判断」は、むしろ神秘思想の類の彼の時代的限界にみえる。ウィトゲンシュタインもトートロジーへの言及があるはずだ。ともあれ、そこに限界を発見したカントの慧眼は、時代的限界を超えて我々を思考させる。2020/04/03
壱萬参仟縁
22
1781年初出。 学問がかげりを帯びて、混乱し、 役に立たなくなったとき、 学問がやがて改造され、 啓蒙されることを告げる発端 であり、その序曲。 無関心ではありえないのに、 無関心を装うことはできない、 という(7頁)。 理性のすべての理論的な学問には アプリオリ(先天的) な総合判断が原理として 含まれている(58頁~)。 時間と空間は認識源泉(94頁)。 2014/06/06
朝乃湿原
13
『純粋理性批判』という書籍名だが、上巻は感性論、知性論がメインである。人間理性の限界を紐解く前に、認識がいかなる方法で感性と知性によってなされるかが説明される。また「認識が対象に従う」ではなく「対象が認識に従う」、つまり有名なコペルニクス的転回が示される。興味深いのは、感性論と知性論に神の存在が前提とされていないことである。カントはあくまでも人間の機能のみに注目、探求し、その可能性と限界を論じている。これはヒュームの経験論の影響によるものであろう。それでも未だ宗教権力が衰えていない18世紀に、知性は経験的2024/11/06
34
12
訳がよい。文庫化を希望する。2020/01/19
イボンヌ
10
どなたかに解説をお願したいです。或いは大学にもう一度いって、形而上学の概論の講義を受けたい。2017/03/09