内容説明
あてどなく、てんで勝手に投げ出される質問。瞬発力で、でも脱力して繰り出す回答。人生の最低綱領の稜線を描く、全天候型、360度対応の人生相談shuffle。
目次
1 週末の大型書店のエスカレーターで
2 雨の朝の通勤電車で
3 飲み会の後の喫茶店で
4 夕暮れ時の公園のベンチで
5 明け方のゲームセンターで
6 眠れない夜の寝床で
7 残業に疲れたひとりの会社で
8 風の吹くすずかけの並木路で
著者等紹介
加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年山形県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。国会図書館勤務、明治学院大学教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授。文芸評論家。文学の可能性を押し広げるべく、果敢な批評活動を展開し続けている。著書に『言語表現法講義』(第10回新潮学芸賞受賞、岩波書店)、『テクストから遠く離れて』(『小説の未来』とともに第7回桑原武夫学芸賞受賞、講談社)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
44
著者はつい先日、亡くなりました。著者の思索の旅がここで突然に途絶するというのは、読んできた者からすると驚きです。死という万人の条件であり、それはまた、エクリチュールの問題であったという単純な事実が著者にも起こった。ただ、それだけですが、ただ、驚きです。本書は人生相談の形式を使った文章です。実際に人生相談があったのかは不明ですが、問いと答えという形式があり、「答えが明確に無い」という答えが読者にとって受け止められます。著者の文章は政治性のあるものがあり、中にはどのレイヤーで考えれば良いのか戸惑うものもありま2019/05/27
白義
9
人生相談と言えばあるある的な話題からどうしても予想を越えない回答をどう芸を凝らすか、みたいな単調さを否めないものだが本書は問1からいきなり「わからないもの(こと)と向き合うために必要なものはなんでしょうか」と超変化球が投げ込まれてくる。いかにもな職場恋愛家庭の人生相談ではなくもっと抽象的な次元から話をして、回答者である著者もそれに対してやはり変化球を効かせて返球する、見ているだけで脳の色んな部分を使う言葉のキャッチボールになっている。これは名ファイト。著者も答えを決めずに一緒に考えている相談が特にいい点だ2018/02/23
ひで
2
船橋西図書館の企画コーナーで、初めて加藤典洋さんの著書を手に取りました。文章が村上春樹さん的だなぁって感じました。2019/06/17
さつき
2
まだまだ人生に迷子なので、すっごく久々に、再読。以前読んだときにどれだけ読めてなかったかを再確認するような再読になりました…。わかんなくても平気で読み流してた。今もそういう部分はあるのですが、とりあえずわかんない回答もあったとこ頃に止めていつかまたきっと手に取るときには今回よりは読めるように、なっていたいものです。2012/05/05
nabebe
1
図書館本。メモとか取らなかったから良いなと思ったのも忘れてしまったけど、いくつか良いなと思うのがあったと思う。人生におけるミスキャスト(本当はああしたかったのにこうなってしまった)は実は人生における重要な役割を示しているとか、なぜ人を殺してはいけないかとかね。誰でも抱きそうな質問に対して簡単な言葉で堅苦しくなく答えていたからスッと入ってきた。メモ取ればよかったなあ。2020/11/04