出版社内容情報
韓国の人気実力派作家パク・ミンギュの短篇集。奇想天外なSF、現実的で抒情的な作品など全9篇。李孝石文学賞、黄順元文学賞受賞作収録。二巻本のどこからでも。
内容説明
帰郷した「僕」がタイムカプセルを掘り起こし…「近所」。老年の夫婦を描いた抒情的な「黄色い河に一そうの舟」。騒音の抗議に来た上階の男と迎える「最後までこれかよ?」。前世はマリリン・モンローだった「僕」と宇宙人の「“自伝小説”サッカーも得意です」。驚嘆の作品集。
著者等紹介
パクミンギュ[パクミンギュ]
1968年、韓国・蔚山生まれ。中央大学文芸創作学科卒業。2003年、『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』でハンギョレ文学賞と『地球英雄伝説』で文学トンネ新人作家賞をダブル受賞して話題になる。05年に『カステラ』で申東曄創作賞、07年に「黄色い河を行く一そうの舟」で李孝石文学賞、09年に「近所」で黄順元文学賞、10年には「朝の門」で韓国で最も権威あるとされる李箱文学賞を受賞
斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳家。『カステラ』で第一回日本翻訳大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
68
韓国現代文学がブームだそうで、その中でも良く名前が出るパク・ミンギュの短編集を読んでみた。著者は音楽好きで、この作品はSIDE Bと対になっているという。内容はリアリズムとSF・ファンタジーの2系統。リアルな小説として夫の目からみた認知症の妻、息子夫婦、娘を描いた『黄色い河に一そうの舟』は切ない。また『近所』では中年になり久しぶりに会った男二人の場面で「どこかに脱いできた少年の抜け殻も、もう冷たい残骸になっているだろう。」という表現がいい。『深』はSFで深度19251mで生活する潜水専門の特殊な人達の話。2020/02/28
アマニョッキ
54
パク・ミンギュおもしれー!とにかくその一言に尽きる短編集。とくに中盤からのSF展開好きだなー。全然関係ないけど「5億年ボタン」思い出したりしちゃった。お気に入りは「羊を創ったあの方が、君を創ったその方か?」(←このタイトル思いついた時点でもう勝ちじゃない?訳した斎藤真理子さんも天才じゃない?)と「〈自伝小説〉サッカーも得意です」。どんな状況でもエロいことしてるの本当人間らしくて馬鹿らしくて愛らしい。サイドBも楽しみ!2020/03/01
りつこ
46
面白かったーーー。好き好きパク・ミンギュ。リアルな物語とぶっとんだSFの振り幅が大きいけれど、どちらもハートをぎゅっと鷲掴みしてくるようなシーンや描写があって、ぐっとくる。LPレコード時代へのオマージュというだけのことはあって、テンポの良さと独特のリズムがグルーヴ感を出していて、読んでいて気持ちいい。特に好きだったのが「近所」「グッバイ、ツェッペリン」「羊を創ったあの方が、君を創ったその方か?」。SIDE Bも読まなければ!2020/01/15
あじ
34
本国に熱狂的なファンを抱えるパク・ミンギュの短篇集。一抹の期待が死期を詰めるほどの──【近所】、認知症の妻を看ながら子供たちという亡者に──【黄色い河に一そうの舟】、純文学の潮流が色濃い韓国では珍しいSF作品【深】も───。パク・ミンギュの埋蔵量はいかほどか、盤をひっくり返し同時刊行の『サイドB』に直結ワープ。そして一貫とした斎藤真理子さんの“訳”が、いい仕事している事に変わりありません。2020/01/15
星落秋風五丈原
24
それぞれに捧げる人がいてその理由があんまり大した意味がないんだこれは。2019/12/20