内容説明
魔剣エクスカリバー、円卓の騎士、魔術師マーリン、騎士ラーンスロットの冒険、トリストラムとイソードの悲恋、聖杯探求…。あらゆる英雄譚、恋愛譚、奇蹟譚の伝承が詰まったファンタジーの宝庫「アーサー王伝説」。15世紀の原典“キャクストン版”、本邦初の完訳版。ビアズリーの豪華流麗な挿絵500余点を完全収録。原書全21巻のうち18巻から21巻までを収録。
著者等紹介
井村君江[イムラキミエ]
栃木県に生まれる。東京大学大学院人文科比較文学文化専門課程博士課程修了。青山学院女子短期大学講師、早稲田大学講師、宇都宮大学講師、鶴見大学教授、明星大学教授などを歴任。ケンブリッジ大学(ルーシイ・キャヴェンデッシュ・カレッジ)とオックスフォード大学(モーダレン・カレッジ)の客員教授。イギリス・フォークロア学会終身会員/国際アーサー王学会会員/フェアリー協会会長/福島県金山町妖精美術館名誉館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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syaori
39
ガラハッドの言葉「世俗の生はすべて〈はかない〉」が何と重く感じられることでしょう。聖杯探索後、宮廷では華やかな馬上槍試合が続きますが、ラーンスロットとグィネヴィア妃の愛を契機に、物語は大いなる悲劇アーサー王の死とその王国の崩壊へ突き進んでゆくことに。栄華を極め、騎士道の華と謳われた騎士たちを集めた王国が、回り始めた運命の輪の前に何とあっけなく消えてしまうことか。物語の掉尾を飾るこの部分はまさに圧巻で、どんなに抗っても破滅するしかない運命に対する王の姿に、その悲劇に心揺さぶられずにはいられませんでした。2017/11/02
em
15
聖杯の探求で生き残った者たちがほんの束の間過ごす、物語中もっとも華やかで平穏な時。この後の運命が定まっているのを知るだけに、いっそう意味深いものと見えました。愛着を持つようになった数多の騎士、アーサー王、女性たちの生が各々終息に向かっていくさまは、じんわりと余韻を残します。静かに祈りを捧げて余生を送るというのも、子供向け王朝物で憧れだったことを思い出したり。気づけば完全に童心に返った状態で読んでいて、大量のメモを取りつつあっという間の五巻、満喫しました。2017/11/28
明智紫苑
10
ブログ記事のために地道に読み続けて、ようやく読み終わる。マロリー版ランスロットって、何だかゲーテのファウスト博士みたいな身勝手野郎だと思う。こんなえげつない「傾国の美男」を臣下にしてしまったアーサーは不運としか言いようがない。2017/06/24
viola
10
大学院生になる前に読んでおきたかった古典文学作品の(勝手に)代表的な1作です。3月31日と、ぎりぎりの読破に成功(笑)最終巻はアーサー王の死の物語だから、全体的に物悲しく・・・。色々突っ込みどころは満載だけれど、600年前に書かれたものでも十分に楽しめます。面白かった! ただ、今のアーサー王物語といえばこのマロリーのが最も有名なんでしょうが、ギリシャ神話等と同じく諸説?あるので読んだからと満足できないことが難しいところ。でも、ひとまず比喩が出てきても何となくは分かるかなぁ。2011/03/31
マーブル
7
最終巻である今回は、様々な裏切り、すれ違いによる円卓の騎士の崩壊、そしてアーサー王の死、という手に汗握る展開で、かなり楽しむことができた。 メインはラーンスロットとグィネヴィアであり、王妃の勝手さに苛立ちを覚える。 何度も「フランスの物語では・・・」との記述があったが、ラーンスロットはフランスから渡ってきた騎士であり、フランス側の物語の中心であったがためにマロリー版ではかなりのボリュームを割いているとのこと。双方の国でのアーサーの扱いを比べてみるだけでも面白そうだ。 2019/07/10