内容説明
『大雪のニューヨークを歩くには』には、えらい人は出てこない。スティヴンスンの短い文章はいずれもリトル・ピープルを描いている。俯きかげんで歩くスティヴンスンがまた上を向くとき、けっして壮麗なものを見ていない。エンパイア・ステート・ビルディングとかクライスラー・ビルディングではなく、建物の屋上にある水槽や、こわれかけた昔の建物や空中の橋である。
目次
歩道で
ごみ
雨宿り
ワジャバック
屋上
おおい、リーチ!
ブルックナー八角地帯
チョコレート
お金の足
ニューヨークのハーマン・メルヴィル
さまざまな影
サーカス・タイム
トラック
八番街
ノンパレイル
地下鉄の駅
家
ブロンクス動物園
午前4時
ウェストウェイはどこへ
ガリシさんの売店
配管工のトラック
桟橋
空の橋
大雪のニューヨークを歩くには
ハンツ・ポイント
ベルモント・ステークス
タンゴ・パレス
並木の保存
オフ・オフ・ブロードウェイ日記
目ざめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kurumi
5
細かい人間観察や看板・店等のスケッチが、それを見たいが為に、ニューヨークに行きたいと思わせる程の魅力がある。特に雨宿りをする人達のスケッチ、靴のスケッチから予想される階級にくすりと笑ってしまう。ニューヨークの何処かで働く人達の話も好きだ。誰もやりたがらない仕事に従事する男が、その仕事にやりがいを感じている場面は平和的で、暖かい気持ちになる。ニューヨークに行く機会がある人には一読して貰いたい1冊である。2022/01/30
azimuth
2
市場や廃墟、道端のマンホールや空中通路など、ニューヨークの庶民の顔、つつましきブロードウェー、荒削りなマンハッタンに魅了される。どんな旅行記やガイドブックより、「ニューヨーク行きたい」と思わせてくれた。へたうまな感じの絵もいい。過保護に守られてる街路樹には笑った。2011/01/09