目次
向日性と生命感に溢れる青春性 中村草田男『長子』
イメージと言葉の連想、撹拌 高屋窓秋『白い夏野』
沖縄の青い詩人が拓く沃野 篠原鳳作『海の旅』
近代感覚と卓抜な技法の駆使 西東三鬼『旗』
批判精神、イロニー、そして孤心 渡辺白泉『白泉句集』
映像の詩人が描くロマンと超現実 富澤赤黄男『天の狼』
才気煥発な女性性の噴出 三橋鷹女『向日葵』
伝統的な性役割に根ざす癒しの母性 中村汀女『春雪』
余計者の眼―寡婦の銃後俳句 藤木清子『しろい晝』
戦争と虚脱を正視した人間的な詩精神 鈴木六林男『荒天』〔ほか〕
著者等紹介
川名大［カワナハジメ］
昭和１４年（１９３９）千葉県南房総市生れ。早稲田大学第一文学部を経て、慶応義塾大学・東京大学両大学院修士課程にて近代俳句を専攻。三好行雄、高柳重信に学ぶ。近代俳句の軌跡を俳句表現史の視点から構築（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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かふ
16
川名大は新興俳句系の俳人、西東三鬼、渡辺白泉、高柳重信など23人の代表句集を分析し批評する。代表的な句集から特徴を掴み一句批評していく感じでわかりやすい。まあ、独特な俳句用語はあるが。高屋窓秋は「ブレーンストーミング（脳の撹拌）」シュールレアリズムのような連想ゲームみたいな感じか。「頭の中で白い夏野となつてゐる」「ちるさくら海あをければ海へちる」、渡辺白泉「戦争が廊下の奥に立つてゐた」、鈴木六林男「遺品あり岩波文庫「阿部一族」」、林田紀音夫「黄の青の赤の雨傘誰から死ぬ」2023/08/30
仮ッ子
3
色んな俳人を取り上げていて興味深い。芸術家の傲慢さを垣間見たり、矜持を見せ付けられたり。作品が第一であり、人となり、その歴史は、解釈の妨げになったり作品への好悪の感情を左右したりしがちな気もしてしまうが…。なのでほとんど地の文は飛ばし読みだったりする。2010/10/30
メルセ・ひすい
2
14-22赤21究極の短さゆえ…凝縮した言葉の闘争！昭和の俳人23人のｴﾋﾟｿｰﾄﾞと矜持… 西東三鬼 ｢白馬｣の句 白馬に乗る少女から性的ｴｸｽﾀｼｰ､学生時代から乗馬通の三鬼 女性の乗馬がｴｸｽﾀｼｰへの連想に…そして､実人生も晩年まで奔放で通し、ｴﾛｽ的､性愛的な句を詠み独自の才を発揮した｡★哭く女窓の寒潮縞をなし ★屋上の高き女体に雷光る ★湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ 昭和の俳句を、新風の生成システムの視点、俳句表現史の視点から眺望すると、総体として豊饒なうねりが見えてくる。その新風のうねりとは2010/12/03
新地学@児童書病発動中
1
最近読んだ本ではこれが一番面白かった。昭和の俳人の作品とその創作姿勢について論じた本。著者の熱い言葉が印象的。季語を中心に情景を描く伝統的な 俳句に反旗を翻す無季俳句についてもこの本を読んで初めてその輪郭をつかむことができた。わずか１７文字の世界に情熱を注ぐ俳人たちの生き様はすすがしい。 俳句は好きだが型にはまったところがあって、それが嫌だったが、この本を読んで見方が変わった。2011/10/13
turekuke
0
青春俳句って鬱屈していて爽やかだ。高屋窓秋、篠原鳳作とか素敵だった。あと俳人の言葉は極まってる感じがしておもしろい。2010/10/13
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