出版社内容情報
私的な恋文と公的な作品の間を往還することで見えてくるものは何か。谷崎・立原・中也・ランボー・サルトル…その特異な恋文から浮かび上がる作家の姿。
内容説明
恋文という私信と作品という公的な言語空間との間を往還することによって見えてくるものは何か?―その豊潤で特異な恋文をテクストに、絶えず新しい自己自身を生み出していく作家の姿を鮮やかに浮かび上がらせる。
目次
谷崎潤一郎
立原道造
森鴎外
夏目漱石
北村透谷
島崎藤村
斎藤茂吉
金子光晴
伊東静雄
中原中也
アポリネール
バルザック
ボードレール
ディドロ
フロベール
ゲラン
クライスト
メリメ
ランボー
サルトル
著者等紹介
宇佐美斉[ウサミヒトシ]
1942年名古屋市に生れる。京都大学文学部仏文科卒。京都大学人文科学研究所教授。著書に、『立原道造』(近代日本詩人選17、筑摩書房)、『落日論』(筑摩書房、和辻哲郎文化賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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風眠
12
自分の死後、恋人や妻に宛てた恋文が人目に晒されるなど考えてもいなかっただろうと思うと、ちょっと気の毒になってしまう。ラブを熱烈に伝える手紙であるから、甘くて何だか恥ずかしい。かの文豪と呼ばれる方々も写真ではすましてる顔してても、愛を語るときはほんの少しバカっぽくて、たくさんの想いと情熱に溢れてしまうものなんだな。私は特に立原道造の恋文が好き。大切で愛しい人だからこそ、身を引く立原の心が切ない。それぞれの恋文への解説は、私はいらないように感じた。説明的になってしまうのがもったいない。様々な愛の形がある一冊。2013/07/21
星落秋風五丈原
1
私は赤面してしまいました。特に斎藤茂吉。2006/04/06
ダナヲ
0
作家の恋文の"考察"。原文テクストフォントママイキで、訳付き。ただそれだけの本はないかしらん。でもこれはこれとして、文学論として面白い本なのだと。しかし読みすすめるのに勇気と体力がいります。飢饉中の私にはずしりとくるこのリア充っぷり。2012/02/28