内容説明
日中戦争突入前夜の1934年、文芸の保護と奨励を名目に、真実はその統制を狙った文芸院設立構想が持ち上がった。それに対して明治生き残りの秋声、藤村をはじめとする昭和文人たちはいかに対処したか。昭和文人の気骨と節度。
目次
状況の展望
何を今さら文芸院―与謝野晶子、正宗白鳥、徳田秋声らの反発
山本有三の「文学士道弁」と文芸懇話会
人および思想の系譜―小松原英太郎と松本学
安岡正篤の国維会と松本学の日本文化連盟
文化統制の諸相(芥川・志賀の見た山本悌二郎、その人;長谷川伸『雪の宿場街』の放送禁止;『源氏物語』の上演禁止物語)
文芸家慰霊祭一景―水蔭に舞ひ絡みてし老孤蝶
文壇五勇士の陸軍特別大演習観戦
孤立国日本の一九三五、六年危機説と文化擁護の問題
帝国美術院の改組で落花紛々
帝院陰々として帝展転々―悶々の文部大臣
文芸懇話会賞のいざこざ―佐藤春夫と広津和郎
ぎりぎりの誠実―中野重治と室生犀星
久米正雄の八つ当たりと近松秋江の老武者ぶり
文壇無鑑査組の意欲を覗かせた『文芸懇話会』誌
「財閥富を誇れども…」―フィランソロピーの先駆
文化勲章の制定と帝国芸術院の成立―志賀直哉・永井荷風・島崎藤村
詩歌懇話会と北原白秋―詩人賞わざわい「あり」や「なし」や
アート・サポートへの架橋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rbyawa
1
k005、前編である『明治文芸院始末記』は誓って傑作だと思うが、こちらの出来はいまいちを越えてお粗末。後書きを読むとその理由もわかるかな…大衆作家を格下認定してるわりに歯切れが悪いと思ったら誰が大衆作家なのか知らないと気付いた時は毒気が抜かれた。明治作家が戦時組織に関係していてこの本の中でも老衰に近い形で亡くなった辺りは他の本では読めない成果と思うが、作家知識のない中での「代弁」もいらない…芥川と菊池寛しかまともに経歴を把握してない模様。あと面白かったのは資金の流れくらい、誰か手伝ってあげて欲しかった…。2020/01/24
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