出版社内容情報
日本を代表するマンガ家つげ義春。これまでに発表されたインタビュー、対談を集大成。旅、温泉、人生、宗教観、生活など、独特な作品の背景が浮かび上がる。
内容説明
旅、温泉、生活、宗教観…、孤高の作家の作品背景が浮かび上がる「つげ式」のすべて!「自分にとってのリアリズムは家庭にしかないんですから…淡々と生きていれば、それでいい」過去50年間の対談、インタビューを集大成!
目次
序 プロフィールつげ義春
漂泊(生きる実感は旅浪にある―深沢七郎×つげ義春;都会に価値なんてひとつもない―藤原マキ×つげ義春;つげ式生活の最近―正津勉×藤原マキ×つげ義春 ほか)
隠棲(刺激ぎらい;直径三キロがリアリズムの素;物書きは救われない―菅野修×つげ義春 ほか)
あの頃、この頃(妖怪博士を訪ねた頃;あの頃の調布―高野慎三×つげ義春;外房大原への夢―つげ忠男×藤原マキ×つげ義春 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
75
70年代前後、漫画雑誌「ガロ」と「COM」があって、私は断然「ガロ」派だった。この本は、「ガロ」で活躍した「つげ義春」さんのインタビュー集。熱烈ファン(私も)には、堪らない一冊だ。何故、漫画家にという問いに、「人に会わないで一人で閉じこもって喰ってゆける仕事は何かと考えて」と飄々と。貸本漫画でスタート(私の街にはなかった。)、「ガロ」で一気に花開いた。長井勝一さん時代の「ガロ」は、「自由に気ままに、好きなものを描いていい」と。そもそも、「つげ義春くん、連絡乞う」と「ガロ」に広告され、スタート。→ 2025/01/21
ホークス
39
2024年刊。過去のエッセイと対談。西山温泉の写真が怖かった。侘びた古家、未舗装の道、お面を被った幼女にはこの世ならぬムードがある。「最初から生きにくかった」「不安定な状態でずっと生きてきた」等の言葉が繰り返される。つげは人格者ではないが、彼を世間や普通の側に立って貶める質問に腹が立った。世間を窺い、何かしているフリに忙しいと、そんな気晴らしが必要なのか。つげは、「世の中から見捨てられたような貧しげで惨めな風景に惹かれる」と言う。誰しもある差別意識を別にすれば、逃避の果てに普遍の美を見つけたのだと思いたい2024/06/04
gtn
27
つげ氏の宗教観を探る。「現在の宗教は変なヒューマニスムに影響されているようで物足りなく思えます」、密教的なものに惹かれる、輪廻転生を信じない、生まれ変わりたくないと彼は述べる。本人は無宗教というが、それは"ニヒリズム"という宗教。なお、ガロで「ねじ式」等傑作を切れ目なく創作した当時、ある特定の宗教を支えにしていたことを知っている。彼はもう忘れてしまったか。2024/09/16
阿部義彦
24
私の大好きな筑摩書房4月の新刊。堪能しました、素敵な読書時間でした。今回はつげ義春と調布とは深い繋がりが有るのだと再発見。水木しげるさんも住んでいたし、『水木さんは「調布にはあんな店しかないんです」とか「調布には美人がおらんのですわ」と嘆いてましたが、自分はローカルな雰囲気と、美人が居ないのが、むしろ好ましく思えましたねえ。』との事。又自分は退屈に強いので、何もしなくとも退屈しないって事。退屈で当たり前と思ってるとも。ネット社会の今スマホが退屈を奪ってる、でもつげさんの漫画はスマホでは読めないです。2024/05/04
maghrib
7
対談集。貧困旅行記に書かれていた、関係からの解放としての旅や隠遁について多く語られている。水木しげると同じく調布に住んでいたとは知らなかった。2024/10/12
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