内容説明
急いでわたる子ども、荷物を運ぶ主婦、たたずむ老人。周辺の居酒屋に集うひとびと。大好きな踏切をめざして都内を西から東へ、時には鎌倉、山形まで。線路上で交差する一瞬の光をとらえ、つづり、句を詠む。なつかしくも鮮烈なエッセイ集。
目次
夢舞台―赤羽~十条
東京のお盆―雑司が谷
踏切感傷―金町
海と山と―吹浦
遮断機なし―西新井
ゆらゆらした町―代々木
チクテカフェ―下北沢
暮れの海―稲村ヶ崎
雨あがり―駒込
強風―九品仏〔ほか〕
著者等紹介
石田千[イシダセン]
1968年福島県生まれ、東京育ち。国学院大学文学部卒業。作家嵐山光三郎氏の助手となる。2001年「大踏切書店のこと」で第1回古本小説大賞を受賞
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感想・レビュー
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かっぱ
10
著者の感性に癒されるエッセイ集。出会った人々の何気ないしぐさをとらえる眼差しが暖かくていい。間に挟まれる踏切の番号と大股何歩という記号の羅列がよいアクセントとなっている。2013/12/24
myunclek
8
屋上も渋かったけど踏切趣味とは。でも踏切の沿線の描写や食堂の何気ないメニューと、そこでたまに飲むビールの美味しそうな事。屋上からの風景には無い生活感がたっぷりでした。踏切の歩数で踏切の大きさを想像するのも楽しかった^ - ^2019/03/08
いくっち@読書リハビリ中
7
石田さんの2作目の本は踏切にまつわるエッセイ集。1作目は小説だったけれど、エッセイのような匂いがした。ふんわりとした柔らかい文体は、人の繋がりと彼女の人柄の良さがにじみ出てくるようだ。あとがきに「本好きの人が読む雑誌で、本にまつわる踏切を探そうと思ってはじめたが、本を読まないからすぐに続かなくなった。」とある。いやあ、書かなければわからないのにと苦笑した。高架となって踏切も少なくなったが、地元の踏切も載っていたので近いうちに歩いてみようと思う。大股計測がとても好感が持てます。2010/09/26
まみ
4
タイトルを見てディープな踏切話が書かれているのかしらと想像したけれど、踏切についての文章というよりは、踏切の近くの街の描写が石田さん独特のリズムで淡々と続く。一緒に警報機の音を聞きながらゆらゆらと散歩しているような気分になりました。頻繁に食べ物の名前が出てきて、さらりさらりとしていて細かい描写はないけれどなんだかとってもおいしそう。今ちょうど読みたいと思っていたホフマンの絵本のことを書かれていて、ますます読みたくなりました。2009/11/11
山崎にう
3
踏切をテーマに一編一句一エッセイのエッセイ集。筆者独特の文体と自然描写、踏切描写がよく似合う。踏切句会なんてのが開かれていて、面白い句会だと思う。通りすがりでしか見たことのない踏切を、今度まじまじ見てみようかな。2015/12/14