内容説明
女は女優、男はパイロットの卵。そんな二人が、NYで出会って恋をした。「帰国する、君に会いたい」と電話があった矢先、高齢の父のボケが始まる。ウンコとオムツ。その間をぬって続く仕事とデート。こうして、恋と介護に揺れ動く怒涛の日々が始まった…。
目次
恋と痴呆は突然に
ロバートがただしになった日
ゴルチェをウンコが駄目にする
玉造とEAST VILLAGE
サバイバルの掟
ただしの会社の差別と平等
肉食獣とオカマの接近遭遇
最大の不幸はそのとき起こった
それでも結納は進む
お妾さんと喋った日
デート中毒―汝、我を罵りたまえ
なんでリハビリやんの?
ゴキブリほどの正義を抱いて
オムツという宇宙をさまよえば
「もうあかん」が言える関係
リングから下りたボクサーよ、その痛みを称えよ
踊る・踊る・踊る輪舞
死亡通知
それぞれの修羅
恋は介護と共に去りぬ
選択―父の墓の前で
著者等紹介
遙洋子[ハルカヨウコ]
タレント・作家。大阪生まれ。1986年から8年間、上岡龍太郎氏と組んで司会をした読売テレビ「ときめきタイムリー」から本格的にタレント活動を開始。関西を中心に、テレビ・ラジオ・舞台などで活躍すると同時に、執筆活動も始める。豊かな人間観察に裏打ちされた、テンポのいい、しかも奥行きのある文章には定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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choco
16
これはオススメ‼︎ 遙洋子は関西ではお馴染みの芸能人。女優?笑 関西人の私にはもう読んでてたまらない爽快感! 介護ってやってみた人にしかわからない。親が認知になってくなんて元気なうちは想像すら出来ない。満足な介護って?満足な人生って?後悔しないようにするにはどうしたらいいの?? そんなの決まってる。 後悔しない介護なんてきっとない。後悔しない人生も。 ただ必要なのは気持ちの切り替えだけ。2014/08/30
あいくん
11
☆☆☆☆「ブックトーク再考」に介護について考える本ということで、谷川俊太郎さんの「おばあちゃん」と並んで紹介されていました。遥洋子さんは父親の介護に奮闘します。その様子は生々しいです。介護について考えさせてくれます。 介護と恋愛と仕事が3ついっぺんに来たら、いったいどれが消えてどこが残るかと問いかけてきます。遥さんの文章は迫力があります。読むものに迫ってきます。父親が亡くなった後、恋人は遥さんにプロポーズします。今度は俺の親の面倒を見てくれと言います。仕事が忙しくないときは自分も手伝うからといいます。 2018/12/12
れお
11
テレビドラマにもなった原作本。恋愛と介護は一緒にやって来るって強烈や。著者は6人兄弟の末っ子で、結婚適齢期に父親が介護状態になる。それまで好き勝手やってきた父親なので、母親は介護なんてしてやらん!と5人の兄嫁と唯一の娘の自分が当番制で介護をする。仕事しながらデートしながらの介護で、相当大変やったと思う。自分も親を優しく介護出来るやろうかと心配になる。2014/07/10
joyjoy
10
20年前の作品。介護とは、生きるとは、と考えさせられる。長い爪を切ったその時点で余分なものは削ぎ落とすという生き方の指針を決めた、というくだりが印象に残る。ちょうど今朝の新聞beに、俳優で介護福祉士の菅原直樹さんが紹介されていた。「介護と演劇は相性がいい」と、「老いと演劇」がテーマの劇団をつくり、演劇の手法を使って認知症の人とのコミュニケーションを考えるワークショップも行う。この劇団の看板俳優おかじいは95歳!要介護でも生き生き。洋子の父と比べてしまった。介護の世界も、この20年で開けてきているだろうか。2022/08/27
山下哲実
10
著者が介護経験者かどうかは知りませんが、介護する側の綺麗事ではない本音がリアルに描かれた力作でした。かと言って重くならない感じのストーリーが読み易かったです。2013/07/29