出版社内容情報
アラフォーで母と二人暮らしの蓉子は、幼い頃家を出ていった父の訃報をきっかけに、東京中の坂を転居して回った父の足跡を辿り始める。坂好き必見のお散歩小説!
内容説明
亡くなるまで坂のある場所ばかり転居を繰り返した父の足跡をたどっていく蓉子。坂のある風景が、父の、母の、そしてわたしのさまざまな人生模様を描き出す―。
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年東京都生まれ。作家。1995年「影をめくるとき」が群像新人文学賞小説部門優秀作に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
276
「あなたの人生は、のぼり坂とくだり坂、どっちが多いか?」と問われているような切なさを感じます。坂を比喩的に使って、人生とは何か? 人生の儚さを語る、若干ネガティブな印象が残ります。一方で、17章の中で、東京の様々な坂が登場して、ちょっとしたブラタモリの趣きがあります。坂のいわれ、地形、周辺スポットの見どころ・歴史などが語られ、訪れたくなります。すべての坂の散策マップが章末にあり、のぼったりくだったり、坂道散歩を楽しめそうです。2021/12/05
モルク
160
エッセイかと思っていたが、編集者の蓉子を主人公にした小説だった。8才のころ家を出ていった父は、坂それも名のある坂のあるところを選んで引っ越しばかりしていた。転居の度に娘に葉書をだし、遺言書にはかつて住んだ坂の一覧表があった。その父に因んだ坂を巡る17話。行ったことのある地ではテンションが上がる。各話の終わりにはお散歩マップのイラスト付き。丁寧に書いてありわかりやすい(如何せんマップの字が小さく苦戦)ので、知らないところでも行ってみたくなる。坂巡りの旅もいいな。2022/03/29
初美マリン
130
ただ下ることだけを選んだ人生、父の姿を追いかけながら、坂を巡る。しみじみ東京めぐりをしたくなる本2022/01/13
のぶ
127
何気ない坂道に名前がついているなんて、洒落ていると思った。そんな東京も捨てたものじゃないですね。現在、母と二人暮らしの富野蓉子は、父の存命中に20回以上の引っ越しをして、常に名前のある坂の近くに居を構えた。幼い頃、家を出ていった父の遺言状には、自分が住んだ坂のリストがあり、ある時から蓉子は父の足跡を辿り始める。章ごとに17の坂が紹介されていて、そこにショートストーリーが込められていた。坂道紹介かエッセイともとれる事ができる本だが、知らない場所が郷愁を誘う。それぞれに描かれたイラストマップも見事。2021/06/16
KAZOO
117
これはほしおさんの御自分のエッセイかと思いましたが出てくるさかだけが本当にあるものであとはご自由に書かれたような感じですね。話し手の主人公の父親が引っ越し魔で北斎のように何回もさかのあるところに引っ越します。語り手が小学生の時に家を出たきりになりますが引っ越すたびに手紙をくれます。語り手は他の作品にもあるように連句をしたりしながらその坂を訪れます。毎回手書きの坂の地図が書かれているのが秀逸です。私もこの本を読んで近くの坂を散歩したくなりました。2022/09/13
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