出版社内容情報
夫婦、友達、親子。この地球に生きる私達の日常は奇跡のような出会いとすれ違いの積み重ねでできている。19編の短篇からなる初の小説集。挿絵 奈良美智
内容説明
作家、詩人、作詞家として活躍する著者の初めての小説集、遂に刊行。新たな世界を予感させる19編。
著者等紹介
高橋久美子[タカハシクミコ]
作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。詩、小説、エッセイ、絵本の執筆の他、様々なアーティストへの歌詞提供や翻訳など創作活動を続ける。翻訳絵本『おかあさんはね』(マイクロマガジン社)は第9回ようちえん絵本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
100
奈良美智さんの表紙に惹かれて手に取った。キュートな挿絵もあって嬉しい。ちょっと変わった人間模様にSFファンタジー要素が自然と溶けこみクロスする連作短編集。不思議系ほのぼの「蟻の王様」、“流動的な私の体内”という言葉が印象的だった「私の彼方」、♪ジュボボボーン。クロスの源「DJ久保田#1#2」が良かった。チャットモンチーの元ドラマーの高橋さんとは知らずに読んだけどシニカルでどことなく愉快。飄々した独特の感性が光っていた。2021/06/29
美紀ちゃん
96
奈良美智さんの表紙に惹かれて読む。 短い短編集。 登場人物が少しずつ、つながってぐるりと回る。 奥付も丸くて可愛い。 サ高住→ サービス付き高齢者向け住宅。 マクロビ料理も気になる。 DJ久保田のところがよくつながっていて興味深い。 元チャットモンチーの高橋久美子さん。 素敵な人なので、また次の作品も読みたい。2021/08/11
Willie the Wildcat
74
郷愁漂う心底を吐露。喜怒哀楽、自己解決の気持ちと、DJに聞いてもらいたい気持ちが交錯する”二部構成”。印象的なのが『蟻の王様』。遠い昔に、亡き母方祖父と2人だけで出掛けた唯一の機会に買ってもらったゴムボールと、祖父の家に泊まった時に湯たんぽと共に一緒に寝た思い出が頭に浮かんだ。「盆栽」に前者、「部屋の箪笥の匂い」に後者が重なる。次に、グッと来たのが『指輪物語』。公私での俊介の発言がツボ、”気持ち”なんですよね。最後に『四月の旅人』が、「季節が”ぐるり”回ってまた桜の季節」って感じで〆る。2022/03/03
紫 綺
71
周りを「ぐるり」と見渡すと多種多様な人たちがいる。生きものたちがいる。それぞれの「生き物語」を描く19編の短めの短編、だが中身は濃かった。2021/10/23
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
59
奈良さんの表紙の絵にひかれて。高橋久美子さんは、元チャットモンチーのメンバー。本書は、日常の断片を切り取った19の短編集。『柿泥棒』の白昼堂々とよその家の柿をとる大胆さに驚き、その取った柿が渋柿だったことに大笑いしたり、『指輪物語』の指輪が本物でなくても、祖母との思い出としての価値を重視する恵さんにほっこりしたりなど、派手さはないが、心に少しずつ染み込んでいく感じが心地良い。全部ではないが、少しずつ繋がったり、交差したりして、くるりと回転するようにつながるのがいい。何気ない日常が愛おしく思える1冊。 2022/05/23