出版社内容情報
幼い頃〈火の鳥〉に魔法を奪われたエヤアルに突然生じた能力。その力が彼女を陰謀と戦火渦巻く世界に誘う。ひとりの少女の成長を描いた本格ファンタジー。
内容説明
隣国と長い戦争を続けるハルラント聖王国の最西端“西ノ庄”の少女エヤアルは5歳のとき、魔法を暴走させて災厄を招き“炎の鳥”に魔法を奪われる。8年後、徴兵吏によって砦に連行された彼女の中で不思議な力が目を覚ました。公明正大な国王ペリフェ3世、その弟で火炎神殿騎士の美丈夫カロル、謎の予言者ニバー…、エヤアルの“力”をめぐって世界に戦火をもたらす陰謀が動き出す。日本ファンタジーの旗手が壮大なスケールで描く、過酷な運命に挑む少女の物語。
著者等紹介
乾石智子[イヌイシトモコ]
山形県生まれ、山形大学卒業。1999年教育総研ファンタジー大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
75
幼い頃に山と森一つを焼き尽くしてしまい、炎の鳥に魔法の力を奪われた少女・エヤアル。多くの草木や動物の命を奪ったことを悔い、過失を忘れない呪いを自らにかける。空っぽの者となっても記憶の力に優れた彼女を王が見いだし、大きく運命の扉が開く。あぁ面白かったです!読み終えるのが勿体ないと思うほどでした。2016/05/05
ゆかーん
58
前半は集中して読めましが、後半になってファンタジーを読み下すエネルギーが途切れました、残念です…。この物語は、魔法の力を封印されて、<空っぽの者>として生きることを余儀なくされた少女エヤアルのお話。役に立たないと思われていた彼女でしたが、彼女の記憶力の良さがハルラント王国の王に認められ、親元を離れ祐筆として働かされることに…。沢山の言語を覚える、能力の高さに周りからも認められてゆくエヤアル。ブランティア国を征服しようと企む、王の力になることはできるのか?そして、彼女の未来とは!?と、ここまででした…。2016/06/16
ちょき
50
乾石(いぬいし)さん2作目。なかなか面白かった。エンディングは色々と意見が分かれるかもしれないが、これも一局の終わり方と納得。一級のファンタジー作品であることは認めるし、不忘の呪いとか開閉魔法など面白い仕掛けもあって退屈しない。浮かんだ情景は「ハウルの動く城」のようなジブリっくな世界。ただ一つだけ言うならば、もうすこし人間関係のごにょごにょした何かが欲しい感じはした。盛り上がっていくしオチもあるのだが全体的にはなんか平穏。狂おしい愛だとか、恨みの情念だとかストーリーを際立たせる何か。それって愛?2016/06/29
むつぞー
41
自らの魔力を暴走させ森を焼き払ったエヤアルは、魔法を奪われました。 しかし彼女には魔法はなくとも、抜群の記憶力がありました。 そのことによって生きた報告書して王の元へ、そして王弟とともに他の国へとも行くことになります。 村へ帰りたいと望む少女は、争いの中で何を見て考えていくのか。 争うこととは、力とは何なのか。いろんな問が問いかけられた作品だと思います。 力と力をぶつけあう先に平和はやはりないのだと思います。 平和を望む力が、戦の痛みを忘れない力が平和をもたらすのではないでしょうか。 2016/04/02
杏子
37
集中して読む時間がなくて、やっと読み終わった。図らずも初乾石さんとなった。ある出来事で自分が持って生まれた力を盗まれて、〈空っぽの者〉として生きていくことになった少女エヤアルの物語。記憶力に優れているという能力を買われ、王の祐筆として雇われたエヤアルだったが……信頼を寄せたペリフェ王と弟のカロルに利用され、運命に翻弄されていく。かなりしっかりしたファンタジー作品で、読者を選ぶかもしれないが、文章はそんなに難しくない。YAとして紹介されたが、大人の読者でも十分楽しめる。積読乾石作品にも手を伸ばしたい!2016/08/16