• ポイントキャンペーン

おはよう、水晶―おやすみ、水晶

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480804167
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

世界と対峙する内面の静かな朝……。悲しみを超克する水晶の覚醒。
猫と暮らす「私」。作家生活の日々の中で、時に可視化する「ヒトトンボ」「権現」の存在。生命、言葉、他者に取り巻かれた「私」とは? 笙野ワールドへの誘い!

内容説明

その名前はろむる、水晶の髪、昆虫の翼、種族名、ヒトトンボ、天人星、夏王子、とも書く。性質は非情、楽器を鳴らす。その卵はフェリーにより、千葉に運ばれた、人の記憶に入り込み、「ともに暮らす」。彼との別れに関する警告と注意。世界と対峙する内面の静かな朝…悲しみを超克する水晶の覚醒。

目次

おはよう、水晶
ふたつの贈り物
失われた記憶
夏王子の翼
記憶の埋め水晶
ヴァーチャル・ドクター
ヴァーチャル・ナイト
日記の霧、削除の虹
シンギング・レーザー
生命のない宇宙〔ほか〕

著者等紹介

笙野頼子[ショウノヨリコ]
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。1981年「極楽」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。1991年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、1994年「二百回忌」で三島賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、2004年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、2005年『金毘羅』で伊藤整文学賞、以上の各賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホレイシア

10
ここ何冊かかわいい装丁が多いのは御本人の希望なんだろうか。それはともかく、「文章」という戦う術を持ち存分にそれを発揮し得る笙野さんはやはりすごい人である。普通こういう私小説的な書き方のものは何冊か読んで飽きがくるのだが、この方の場合はご自身が刻々と進化を遂げておられるのでその心配はまったくない。佐藤亜紀氏が書かなくなっちゃった今、楽しく追いかけられる日本の作家はこの方だけだ。2010/09/17

Roy

9
★★★★★ こんなにも彼女を突き動かしている感情はむしろ「憤怒」ではなく「哀絶」なのだと思った。先の「ドンキホーテ」に然り「文士の森」に然り、ただただ怒っているのだと誤認していた。世の中に権力者に時代に、「怒り」を暴力や金、人脈でぶつけているのではなく、「悲しみ」を自分の紡ぎ出す文字だけでぶつけているのだ。水晶は死なない、見限らない。なんだか、少し泣いた。2009/01/30

あ げ こ

8
その水晶は、自らの身を、守るためのもの。怒りに、悲しみに、沈み込まぬよう、自らを保ち、力を、湧き上がる力を、集め、蓄えるため、そこに在るもの。すべてうつすよう、その内に、注ぎ込んだ思い。戦い抜く心に満ちた、熱も。音もなく、魂を奪い取るような、喪失の痛みも。すべて、注ぐ。淀み、傷つき、歪みさえ、吸い込み、それでも、水晶は、穏やかに、佇む。それは、壊れぬ強さを思わせる、静けさ。喜びも、安らぎも、内包するが故の、静けさ。自らを守り、強化するための試み、その穏やかさに、崩されぬ心の強さを思い、僅かに、安堵する。2015/01/14

タリコ

7
著者の作品を読む際にいつも浮かぶキーワードは、「剥き出しの感性」。方法論は著者だけのものだから安易に共感も支持もできないけれど、その精神の動きにただただ見惚れてしまう。2009/04/11

kenitirokikuti

6
図書館にて。『ちくま』2006年六月号から2008年六月号連載、08年12月に刊行。おおむね「だいにっほん」三部作の期間と重なる。年譜を読むと、「だいにっほん」のあと再度『群像』から干されたっぽい。同時期、おもにネット上で小谷野敦と論戦あり、それが2010年の小谷野『現代文学論争史』に続き…笙野がwebちくまに反論を書いたりするうち、2011.3.11があって、争いが立ち消えたわけではないが、次の局面に移る▲本書は2年間の連載なので、愛猫老嬢のエッセイと読めなくもない。2023/06/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/415056
  • ご注意事項