内容説明
天津の外国租界に育ち、エリザベスと呼ばれた少女は、紫禁城の豪華にも「満洲国」のかりそめの夢にも、ついに幸福を見出すことはなかった。歴史のいけにえを我が身の役割として引きうけた一女性の凄絶な生涯を描く長篇歴史小説、書き下ろし800枚。ラストエンペラー溥儀の妻の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新父帰る
8
1998年8月刊。皇帝の妻が一人称で語られているので、てっきり、自叙伝乃至回想録かと思い気や、著者曰く「架空の回想録」と告白。成る程、皇帝の回想録なり自叙伝は出ているが、妻の記録は乏しいらしい。その秘密はこの本の表題にある。皇后ではなく、皇帝の妻と表記されているところがみそだ。つまり、皇后としての役目をほとんどしていなかった。だから、妻である婉容には大した足跡も残っていない。そこで、作者は考えた、婉容の心の内をありったけの表現を使って書こうと。それで婉容の心情の表現が長々と続くという作品になったと思った。2024/01/16
もう
4
なんとも切なく残酷な人生なんだ。ラストエンペラーの妃として生き、人生の終わりにはアヘンで苦しみながら死を迎えるエリザベス。切ない。。2014/04/05
tochork
3
地獄だ。――これは溥儀の妻として「扱われた」女性の生涯を扱った歴史小説だ。 表紙の美しい御姿とは裏腹に彼女の人生は暗黒であった。婉容皇后はいくつもの「牢屋」の中に軟禁されながらその生涯を過ごされている。彼女は生涯を他人の欲に犯されて生きる。文字通り「絶望を味わい続けて」その末に他者の欲についに敗北しその生涯を散らす。抗う力を尽かし麻薬に墜ちる姿は読んでいてかなしい。 / 半世紀前の日本人にとっての"未来"であり、婉容にあこがれを妄想した僕として苦しい描写が多かったが、これこそWWⅡ当時の現実であった。2011/01/19
にやり2世
0
語り手が本人でよかった。そこまでの知識はないだろうと思う箇所もあったけど、情景が浮かびやすい。感情を表に出さない人という印象もあったけど、これだけの文量をめげずに読めたのは本人の視点で書かれてたからだし。2017/03/23
たつや
0
ラストエンペラー溥儀の正室、婉容の人生記。満州国の皇后でありながら皇后であることを拒み、幽閉され、最後はヘロインに溺れ、中共内線の中生涯を閉じた彼女は、時代の流れに翻弄され続けた一生だった。その想いが一人称的な視点で描かれ、作品に深みを与えている2021/12/17
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