出版社内容情報
『くまのプーさん』をはじめ、うさこちゃんやピーターラビットなど今でも子どもたちに愛されているシリーズを翻訳した石井桃子の生涯を綴る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコタ
31
くまのプーさん、ミフィー(うさこちゃん、ナインチェ)、ピーターラビットなどなど多くの児童文学の翻訳で知られる石井桃子さんの評伝。翻訳によって海外の児童文学を日本にもたらしただけではなく、日本で児童文学を読めるように活動したり、自身でも創作したりと児童文学の発展に貢献した文学者。そういった活動をしていたにもかかわらず、戦後は農業や酪農をするといったこともしたり。海外への渡航は47歳になってから。101歳でなくなるまで生涯児童文学の発展へ貢献した。2018/01/16
みよちゃん
8
私が出会ったのは、娘たちにに読んだブルーナやポターのピーターラビットの絵本からです。と同時に、幼なものがたりが浦和を舞台にして書かれたので、郷土の話を聞いているような感じでよんだきおくがあり、さらに東京子ども図書館についても言及されて、彼女のことを再認識しました。中島さんのエッセイも楽しめました。2016/10/06
ぽけっとももんが
7
「子どもたちよ 子ども時代をしっかりたたのしんでください。おとなになってから 老人になってから あなたを支えてくれるのは 子ども時代の『あなた』です」 わたしが子どもの頃、地元には図書館はなく、でも近所でピアノを教えていた家で「家庭文庫」を開いていた。そこでわたしは「九月姫とうぐいす」や「かるいかるいお姫さま」をなんども借りた。そういう田舎の片隅にも子どもに本を与えてくれる環境を作ってくれたのは、石井氏だったのだ。いまでも読み継がれている名作たちに、ありがとう。子どもに本を与えてくれて、ありがとう。2016/05/26
niki
6
農業をやっていた作家というのが彼女に対する最初のイメージ。プーさんの翻訳家だとわかり、彼女を知りたいと思って偶然見つけたのが本書。 児童書に携わったきっかけや農業を始めた流れがわかった。農業だけでは食べてゆけず、お金を稼ぐために42歳で岩波書店の嘱託社員になり岩波少年文庫の編集主任!になる。時間に追われる生活が伺える。47歳で一年間の留学。アメリカ、カナダ、ヨーロッパで児童文学を学ぶ。この時代に独身女性がこんな風に生きられたなんて信じられない。101歳で亡くなるまで仕事を続ける。生き方を見習います。2023/10/22
ybhkr
5
朝の連続テレビ小説みたいな人生。しかし、ご本人は結婚していないし、家族の縁も濃くはないから朝ドラは無理かな。朝ドラになるとしたら結婚して子供もできている自伝的小説のほうだろう。石井桃子さんのふたりのお姉さんの人生がとても不憫。したい勉強もできないままに親の決めた苦労しかない相手に嫁いで病に倒れ、亡くなっていく…。しかし、お姉さんたちの不幸な結婚がなければ石井桃子さんもこの時代のほとんどの女性のように、大学に進むことも就職することもなく、親の決めた相手と結婚し、たくさんの名作は生まれなかったかもしれない。2016/10/23