出版社内容情報
「太陽の塔」を作った男の人生とは。ひとりの内省的な青年が日本を代表する天才芸術家へと変貌を遂げるまでの、彼とその家族の物語。(よしもとばなな)
内容説明
「何だこれは?」既成概念を打ち破ることが、新しいものを生み出す原動力となるのだ。
目次
第1章 太郎誕生
第2章 少年、太郎
第3章 青年、太郎
第4章 開眼
第5章 復活
巻末エッセイ「あの日の空」(よしもとばなな)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美登利
49
私の知っている岡本太郎さんは既に太陽の塔を作成されておられたし、テレビにも多く出演せれていたので、かなりの年齢なっていたように思います。お母さんのかの子さんの小説を読んだこともあり、かなり自由奔放な両親に育てられて苦労したのだろうと勝手に解釈していました。いつの時代も芸術家というのは世間に認められない不遇な時代を過ごし、開花するものなんですね。それを耐えてこそ、本物になれるか。巻末のばななさんのエッセイが私の気持ちの代弁をしてくれていると感じました。実際に自分の目で作品を見て、なにかを感じ取りたいです。2015/02/25
Y2K☮
30
「太郎には基本的な絵画の素養がなかった」この一文に考えさせられた。確かに東京美術学校は半年で辞めている。だが父親は漫画家だしパリに約十年間滞在して文化の最先端に触れてもいる。磨き抜かれた技術の妙で客を唸らせてこそ真の芸術家だというなら、岡本太郎は技術の無さを感性で己だけの技術にまで昇華させた人なのだ(しかもそれを技術とは捉えず天衣無縫に)。太宰治「人間失格」みたいな身体ごとぶつかっていく精神。本当は技術や知識を身に付けた上であえて頼らないという方が正しい。でも完全無欠はつまらんよ。弱点が愛嬌や個性を育む。2019/07/01
アコ
15
改めて岡本太郎を知ろうと10代向け本を。身長156センチと小柄だったこと、太平洋戦争での徴兵も初耳。現在、渋谷駅にある『明日の神話』が長年行方不明で、発見先のメキシコから持ち帰る際に糸井重里氏が資金集め発起人だった記憶を再確認。芸術家・岡本太郎誕生に欠かせない個性的な両親の一平・かの子の話が多め。海苔の山本山の文字を書いたのが祖父で、その内弟子が北大路魯山人だとかなんかもうすごい!太郎を公私ともに支えた敏子さんの話が少なく残念だけど、巻末のばななさんエッセイには登場。2017/05/15
KJ
11
岡本太郎の本でこんなのがあるのは知らなかった。岡本太郎の伝記で、さらっと読みやすくまとめられています。しかし太郎さんもぶっ飛んでるけど、お父様とお母様がこれまた凄い。伝記であれ、この人の本を読むともっと全力でがむしゃらに生きなきゃダメだ、と思わせてくれます。よしもとばななさんの巻末エッセイも良かった。SNS上のつまらん悩みなんて吹き飛ぶよ。2015/10/13
kaz
5
岡本太郎の生涯についてわかりやすくまとめられていた。太郎に大きな影響を与えた父・一平と母・かの子にも触れられていて、川端康成が「聖家族」と呼んだように、常識にとらわれないで強く生きた家族の物語の中で岡本太郎を理解することができた。岡本太郎を知りたい人に最初におすすめしたい本のうちの1冊かもしれない。太郎のアトリエ兼自宅の設計者、坂倉順三が「板」倉順三と間違われていたのが唯一気になった。2020/06/28