内容説明
碩学の思考を跡づけるために、初刊本を底本として刊行順に編纂、改版等で付加された文章を網羅する、はじめての画期的全集。本巻には、神社の祭日・神を祀る場所・氏神の起源と変遷について考察した『祭日考』『山宮考』『氏神と氏子』の「新国学談三部作」と、文字によらない「口承文芸」の広がりと歴史を論じた『口承文芸史考』を収録。
目次
新国学談(祭日考;山宮考;氏神と氏子)
口承文芸史考
感想・レビュー
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てれまこし
5
柳田と言えばまずは日本の固有信仰ということになったのだが、この時期の彼がこの問題に没頭したのは歴史的な文脈がある。まずは、近代化によって失われていたと思われた信仰が、戦争を契機に復活したように思われたこと。次に、敗戦・占領によりそうした信仰は再び見失われるのではという懸念。確かに、日本の固有信仰を守ろうとするナショナリスト的姿勢が見られる。しかし、日本を世界から切り離そうとしたのでもない。むしろ国家神道ではない民間信仰に近隣民族の信仰との共通点があると考えた。アジア主義や帝国主義との関係は再検討を要する。2018/08/29