出版社内容情報
3000年前中国で誕生した漢字。その数20万字と言われる。時々の人間の営為を反映し表出し試行錯誤しながら、今なお変わり続ける漢字の歴史を解き明かす。
内容説明
そもそもは中国語を表す文字だった漢字。その漢字と日本語という本来は異質なものがどう融合してきたのだろうか。試行錯誤の歴史を解き明かす。
目次
第1章 文字とはなんだろう(そもそも文字とは;文字の造られ方 ほか)
第2章 漢字とはなんだろう(漢字の起源;漢字とはなんだろう ほか)
第3章 国境を越える漢字(漢字、国境を越える;日本にやってきた漢字 ほか)
第4章 日本語に入った漢字(漢字音とは;万葉仮名 ほか)
第5章 文字資料で見てみよう(文字資料の残され方・失われ方;日本に残っている文字の資料)
著者等紹介
笹原宏之[ササハラヒロユキ]
1965年東京都生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授。経済産業省の「JIS漢字」、法務省法制審議会の「人名用漢字」、文部科学省・文化庁文化審議会国語分科会の「常用漢字」などの制定・改正に携わる。『国字の位相と展開』(三省堂)により第35回金田一京助博士記念賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
14
そうか、漢字の書き順というのはお上(文科省?)が統一しているわけではなく、現場の先生方に委ねられているのか...とはいうものの、まぁ現場としては、突飛なことを教えるわけにもいかないので、ある程度は統一されたものを教えるしかないのでしょうけど。2014/09/29
magic makky
7
【感想】漢字は、表意文字(言語の意味に結びつく)のうち一字が単語という単位と一致する傾向がある「表語文字」と呼ばれます。その昔、漢字は、韓国や日本だけでなく、タイやベトナムへも伝播し、その地域で使用されたそうです。それぞれの地域で言葉が違っても、類推することで、漢字で筆談が可能だったそうです。面白いですねー。現代でも、中国での漢字を見てなんとなく意味がわかるものが多いですからね、想像できますよね。現在は、タイやベトナムや朝鮮などは漢字が使われなくなってしまいましたので残念に思います。2021/05/08
今Chan
3
漢字についての基礎的な事項を丁寧に説明してくれている。秦の始皇帝の「罪」の話、「にくづき」の話、「龍と竜」の話など、ちりばめられた逸話についつい引き込まれて、楽しい。「ことばは生きている」のではなく、「ことばは私たちが活かしている」という視点に立ち、漢字を学ぶことが、「歴史の最前線」にいる私たちの役割なのだろう。2014/10/08
がっちゃん
2
「使用禁止とトイレの入口に書かれていた」日常、何気なく書かれている言葉でも其処には、大きな歴史の流れがあることに驚かされる。凡才が何れだけ勉強しても、天才の一瞬の閃きには敵わないのか…。なんでこんな「当たり前」の事に気が付くのか!この方の著作には、何時も驚きがある。「よく耳にする「漢字は奥深い」という決まり文句は、結論に至る検証を放棄するかのような考えにすぎません。」2014/09/30
渓流
0
字源の多くには学説によって違いがあることが意外だった。言われてみれば、甲骨文字や金文から現代の漢字に至る道のりは想像と推理の賜物だからね。それに、たとえば、「人」はそれぞれが支えあって生きている、というような道徳的意味合いを持たせたのも日本人の“かってな”想像・創造という指摘も話の小銭に入れておける話題だった。新渡戸稲造の創造ということだ。2017/05/11