出版社内容情報
近所の川の源流から河口まで、水の流れを追って「流域地図」を作ってみよう。「流域地図」で大地の連なり、水の流れ、都市と自然の共存までが見えてくる!
内容説明
あなたは今、どこに暮らしていますか?行政区分ではなく、「自然の住所」でそれを表せますか?近所の川を源流から河口まで、流れを追って「流域地図」を作ってみよう。すると、大地の連なりから都市と自然の共存まで見えてくる。
目次
第1章 「流域地図」をつくってみよう(「川」を軸に自分の居場所を把握する;身近な川をたどってみよう;自分の水系を探る ほか)
第2章 流域とは?(人は川の恵みによって生かされてきた;エネルギー源、流通の要としての川;地球環境の危機で、治水がますます重要になる ほか)
第3章 「流域地図」で見えてくるもの(大人や子どもの大地に対する感覚がおかしい!?;人間は母語を習得するように「すみ場所」感覚を身につける;地球忘却の「すみ場所」感覚の人が増えている ほか)
著者等紹介
岸由二[キシユウジ]
1947年東京生まれ。横浜市立大学文理学部生物科卒業。東京都立大学理学部博士課程退学。理学博士。専門は進化生態学。慶應義塾大学名誉教授。流域アプローチによる都市再生論を研究・実践。2013年春、慶應義塾大学を退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
38
著者の意図を言えば、本書は、現在、そして未来世代が、環境危機の地球をそれぞれの暮らしの足元で明るく見通しを持って生き抜いていくための環境革命の地図戦略の本、だという。その方法といえば、生命圏としての地球を認識するため、流域という地形・生態系の単位を取り上げ、環境への理解を深めることである。本書でその目的を達するかはさておき、行政区分や道路・鉄道が目立つ地図ではなく、流域という単位で地形をとらえ直す作業は面白い。筆者が取り組む、自然の姿が残る小網代流域の保護、および鶴見川流域の水マスタープランも興味深い。2020/07/26
壱萬参仟縁
16
流域は、地形学や水文学の基本概念という(あとがき147頁)。わたくしも水源の村調査中で、水源から河口まで、流域住民の暮らしへの影響は関心をもっている。近所の川の源流と河口を辿ってみる(12頁~)。この作業がもたらす学習効果。地元学の基本を体得できるのである。水系とは、本流と支流とを合わせたもの。そのような視点から村史の地図も眺めてみるとよいと思った。ヤフー地図の水域図は知らなかったので利用してみたい(14頁)。国土と川は、人間の肉体と血管の関係のようである。35頁に自分の手の平の構造と似ているとも説明。2013/12/28
calaf
16
流域...雨水が流れ込む河川によって地域を分割したもの。言葉は知っていたものの、自分の住んでいるところがどうかという事は、考えたことがなかったです。で、実際に地図で辿ってみると、想像していたところとは別の河川に...(汗) 実は、現住所のみならず実家の住所も (大汗) うむむ...そうだったのか...2013/12/09
ちゃま坊
13
久米宏ラジオ番組にゲスト出演。水害は行政区分を超えて起こる問題。治水と生物多様性では行政地図より流域地図という考え方を提言する。これ、他の問題にも当てはまるな。2019/11/03
akinbo511
12
行政で区切られた地図ではなく、水源の流域を意識して自然保護や災害対策を進めようという本だと思う。その昔に何度も川沿いを歩いた鶴見川流域を例に説明が進んでいくので、親近感が湧いて楽しく読めた。読み進めるうちに、小学生の頃にほとんどが暗渠になってしまった近所の川の源流はどこなのだろう?と気になってしまい、ネットで調べたら、丁寧に流域を説明しているサイトを発見できたのも収穫だった。 2014/01/21