出版社内容情報
誤解や偏見とともに語られがちなイスラーム。その本当の姿をイスラーム世界の内側から解き明かす。イスラームの「いま」を知り、「これから」を考えるための一冊。
内容説明
誤解や偏見とともに語られがちなイスラーム。その本当の姿をイスラーム世界の内側から解き明かす。イスラームの「いま」を知り、「これから」を考えるための一冊。誕生・発展の歴史から、各地で相次ぐ民主化運動の背景まで、知っておきたい基礎知識をしっかり解説。
目次
第1章 誤解されてきたイスラーム
第2章 イスラームの世界地図
第3章 「アラブの春」とイスラーム
第4章 イスラームと民主主義
第5章 世俗主義国家からムスリム国家へ―トルコの挑戦
第6章 アメリカは、なぜタリバンに勝てないのか
第7章 ヨーロッパとイスラーム
著者等紹介
内藤正典[ナイトウマサノリ]
1956年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退後、東京大学教養学部助手、一橋大学大学院社会学研究科教授などを経て、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科長。社会学博士。専門は、現代イスラーム地域研究、移民研究、中東の国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パフちゃん@かのん変更
71
無差別に人を殺すテロは勿論、イスラムでも厳禁されている。2011.9.11の同時多発テロ、ビン・ラディン率いるアル・カイダは15億のイスラム教徒の中でも一握りの過激派。それがアメリカの貿易センタービルなど同時多発テロを行ったことで、アメリカは直ちにサウジアラビアのタリバン(ビン・ラディンを匿った)政権を倒し、イラク戦争に突入。アメリカは年間1000億ドルもの戦費を費やした。この事件以来イスラム教徒が敵視されることが多くなった。中東が戦場となり、多くの一般市民が犠牲になった(10万~60万調査により差あり)2015/12/02
よこしま
32
イスラム教を学び始めるに適切な一冊。◆パリでISによる同時多発テロがおき、一昨日にはロシア軍機がトルコ軍に墜落と騒がしくなる中、一からイスラム教を学ぼうと手に取りました。西欧偏向なメディアでは無理があるので。◆結論的から述べると西欧型の世俗主義はイスラムでは無理です。トルコがその典型で苦しんでいます。著者はアフガンにおいてもソ連の侵攻から9.11以降も、イラクやアラブの春となるエジプトやシリアの内情も詳しく。そして暴力的にイスラム圏を襲う欧米への批判も強く。◆この本を基本としISに入っていきたいです。2015/11/26
のの
22
著者のイスラームへの暖かな眼差しが感じられる本でした(ゆえにヨーロッパへの眼差しが手厳しいと感じられる点もある)。歴史のダイナミクスを感じつつ、現在の中東情勢への理解にもつなげることができました。改めて自分の価値観が西欧のそれに大きな影響を受けていることを認識し、アラブの春を民主化の訪れだと単純に喜んでいた自分を恥じました。物事は一面だけで切り取っていたのでは、本質を見誤るなあ…と思ったのでした。『おわりに』のトルコ地震の件にはじんと来てしまいました。なじみの薄い地名が出てくるので地図帳片手がお勧めです。2015/02/23
T2y@
17
生き方も思想も決断も、そのすべてをアッラーに委ねるムスリム。 イスラーム国家とは、法体制がイスラームに沿っているもの。ムスリムが多数を占める国ではない。 …など、イスラーム思想の概念は把握出来たが、理解にはまだ遠い。 また、多様性を認めた事で長期の繁栄を極めた、オスマン帝国の歴史。これらの学びを深めるきっかけになる一冊。 一方で、西ヨーロッパを中心とした欧米キリスト教圏の野蛮さが、相対的に強調されて描かれている処も感ず。2015/04/18
はづき
16
読了に時間がかかってしまったけれど、近代西欧以外の価値観・国家観を知れただけでも興味深かった。新しい視野からみた世界の多様性と、共生していくことは可能で、外交政策を決定的に間違いつづけたれど、いまからでも取り直せることもあるのではないかと、無根拠におもう。2016/06/29