出版社内容情報
東京下町の向島で、すべてが戦争にくみこまれる激動の日々を必死に生きた一少年が、何を考え、喜び、悲しみ、生きぬいたかの物語。
内容説明
昭和十六年、東京下町の向島。いまや少年少女も戦士となり、すべてが戦争にくみこまれる激動の日々が幕をあけた。本書は、戦時下に必死に生きた一少年が、何を考え、喜び、悲しみ、どう生きぬいたかの物語である。
目次
プロローグ 真珠湾攻撃と日本人―昭和十六年
第1章 悪ガキと忠君愛国―昭和十七年
第2章 軍国訓練と中学生―昭和十八年
第3章 鬼畜米英と防空壕―昭和十九年
第4章 「盲爆」と本土決戦―昭和二十年(1)
第5章 三月十日と焼死者―昭和二十年(2)
エピローグ 天皇放送と煙草一本―昭和二十年(3)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年東京向島生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、取締役などを経て作家となる。『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、『ノモンハンの夏』で山本七平賞、『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
112
近頃努めて戦争関連の本を読むようにしている。なかでも著者の半藤一利氏の本は読みやすい。この本は氏が15際の時にあった東京大空襲の時のことだけでなくいかにして太平洋戦争が始まったのかあのラジオの臨時ニュースから始まる。当時はマスコミや大衆まで開戦に浮かれていたことがわかる一方で政府や軍部に対する皮肉なども載っている。今ロシアとウクライナの戦争中だ。どちらの国も戦死者が多く出ていることだろう。著者のような思いをしている人がどれだけいるのだろう。胸が痛む。図書館本2022/03/06
へくとぱすかる
67
再読。戦争体験を語ることが、ともすれば自慢話に傾きそうになることを、半藤さんは必死で自戒している。そしてすごく印象的な言葉がラスト近くに。「単に戦争の外形的な悲惨さ、非常さ、残虐さを強調するだけではいけないのです」「自分たちの日常生活から戦争につながるようなことを、日々駆逐する、そのほかにいい方法はないのです」。これは自他の生命を何より大切にするために、自分に強く言い聞かせたいと思います。2019/09/25
chimako
59
[戦争をテーマにしたお便り作成のための読書] 昭和16年12月8日午前7時の臨時ニュース。「大本営陸海軍部、午前6時発表ー帝国陸海軍は本八日未明?西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」日本が戦争の興奮に陥れられた瞬間。そして、この本の作者半藤少年が“少国民”となった一瞬でもありました。日を追うごとに「非国民」だの「鬼畜米英」だのと戦争に巻き込まれる様子が経験者ならではの筆致で描かれる。そして、東京大空襲。地獄さながらの焼け野原で半藤少年が見たものはなんだったのか?中学生にも読んで欲しい。2014/05/30
たまきら
52
地元の作家コーナーより。わかりやすく整理されている男性らしい語りにあっという間に引き込まれました。下町生活の思い出は暖かく、母の前で土下座する父親の思い出には声をあげて笑ってしまいました。「よくわからないけど、こういうことをするのが正しいんだなあ」と察する彼と、非国民にしか思えない父親の言動…。子供たちって、本当にいろいろわかってしまうんだなあ、と思われる手記でした。2018/06/29
ころりんぱ
51
11歳で真珠湾攻撃の一報に思わず拍手した少年が15歳で終戦を迎えるまで、何を思い、何をしていたか、半藤さん自身の戦争体験を語った本。戦争を知らない私たちにとっては、とんでもない嘘のようなことが、半藤さんの日常だったのだ…と、この本を読んでまず思った。少国民としてお国のため天皇の為に戦うんだ!という教育を受けた半藤さんは、東京大空襲の夜、本当に落ちた爆弾の火を消そうとバケツをもち消火活動をした。生き延びた体験談は生々しくて、重い。p.162、3行目から著者が最も伝えたいであろう文章には思わず涙が出ました。2015/03/20
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