内容説明
江戸時代の人口の八割は百姓身分の人々だった。私たちの先祖である彼らは、何を思い、どのように暮らしたのだろうか?何を食べ、何を着て、どのように働き、どのように学び、遊んだのか?無数の無名の人々の営みに光をあて、今を生きる私たちの生活を見つめなおす。
目次
第1章 江戸時代の家と村
第2章 百姓たちの暮らし(貨幣経済が暮らしに浸透する;百姓の生業;百姓の日々の暮らし)
第3章 働く百姓たち(日々の労働と経営努力;家を支える村)
第4章 百姓の育ち・学び・遊び(江戸時代の子どもたち;江戸時代の子どもはどんな勉強をしたか;文化を楽しむ百姓たち)
第5章 たたかう百姓たち(百姓一揆をおこす;自然災害とたたかう)
著者等紹介
渡辺尚志[ワタナベタカシ]
1957年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。国文学研究資料館助手を経て、一橋大学大学院社会学研究科教授。今日の日本の基礎を築いた江戸時代の百姓の営みに、常に寄り添いながら研究を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こも 旧柏バカ一代
28
日本文化の根底にある百姓の村文化。村という共同体の中で培って来た文化らしい。この本に載っている例は一例であって全てではないらしい。それでも参考にはなる。特に土地の概念とか。2020/09/23
タルシル📖ヨムノスキー
20
これまで畠山健二さんや今村翔吾さん、西條奈加さんなどの物語を読んできたので、江戸時代といったら人情に熱い〝町民文化〟というイメージが強い私ですが、実は人口の8割は農民だったという事実に驚かされました。そんな農民、いやあえてこの本の通りに書くと百姓たちの実際の生活はどうだったのか。もちろんどん底の辛い思いをしていた人も沢山いたでしょうが、虐げられ搾取されるだけの存在ではなく、自然を敬い、周囲と助け合いながら農業を営みつつ、生活に追われるだけでなく独自の文化芸術を生み出す逞しさに、人間の力強さを感じました。2025/04/29
Sakie
16
江戸末期の百姓の例を挙げている。長野の坂本家は百姓でありながら地主、よろず屋、宿屋、金貸しも営む。金銭の出入りは多く、道具から装飾品、嗜好品まで購入する生活様式は現代に近く感じる。千葉の前嶋家は稲作、多種の畑作、山仕事と地主。家族全員が手に職を持って自給と販売に携わるのが基本形で、労働だけを売るのは避けたとのこと。坂本家でも同じだっただろうか。村の管理下にある共有インフラの整備は村人で協力するものだったが、入会地は徐々に分割、私有化されていたようだ。所有の概念が今と違って興味深い。そこをもう少し知りたい。2024/05/02
みなみ
13
実在の記録を読み解いて、江戸時代の百姓たちの生活習慣を解き明かしていく。自分たちで食べるコメもないほど貧しかったみたいなイメージがあるが、そういうのは違うのだと記録を見るとわかる。興味深く感じたのは、土地を担保にしてお金を貸したとき、質流れになったあとでも何年たっても借金を返せば土地を取り戻せたところや、耕作地をランダムに入れ替えていたところ。村全体を守るルールが優先されている状況が現代にも通じる社会を作っているのではないかと感じた。2022/07/24
かんがく
12
江戸時代に生きた実際の百姓たちの食事、娯楽、教育などを史料に基づいてアリアリと描く。歴史書というよりルポルタージュに近い。自分たちの祖先の存在がリアルに感じ取れる良い本。2022/01/12