内容説明
最先端を追う「わくわく感」と同時に「ちょっと待てよ」の倫理問題も投げかける生命科学。日々刻々と進歩する各分野の基礎知識と論点をわかりやすく整理して紹介する。
目次
1章 生命の始まりの科学―生殖(体外受精が可能になって、崩れた「原則」とは?;卵子、精子、胚を他人とやり取りしてもいいか ほか)
2章 生命を複製する―クローンと再生医療(クローン技術の原理は孫悟空の分身術のよう;クローン牛―おいしいお肉を大量生産するために ほか)
3章 私たちの設計図をひもとく―遺伝子(DNAと遺伝子とゲノム、どう違う?;ヒトゲノム解読は、生物学・医学のツール作りだった ほか)
4章 もっともミステリアスな器官―脳科学(「読心術」は脳科学の一分野である;脳と機械をつなぐ技術はどこまで進んでいるか ほか)
著者等紹介
青野由利[アオノユリ]
科学ジャーナリスト。毎日新聞社論説委員。東京生まれ。東京大学薬学部卒業後、毎日新聞社に入社。医学、生命科学、天文学、宇宙開発、火山などの科学分野を担当。88~89年フルブライト客員研究員(マサチューセッツ工科大学・ナイト・サイエンス・ジャーナリズム・フェロー)、97年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(広域科学専攻)、99~00年ロイター・フェロー(オックスフォード大学グリーンカレッジ)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
5
生命科学の最先端トピックである遺伝子や脳、生殖技術について、その可能性と倫理的問題点、両方についてバランスよく解説しています。各章始めに著者自身慣れ親しむ少女漫画を紹介し、それに関わる問題を話していくスタイルにプリマー新書らしさがあります。生命倫理、技術、科学の未来を考える入門書として必読の一冊です2011/09/10
takizawa
2
吉田秋生『YASHA 夜叉』(優良遺伝子を持つ双子)、清水玲子『輝夜姫』(要人クローンの子供たち)『秘密―トップ・シークレット―』(亡き大統領の脳を見る)、川原泉『ブレーメンⅡ』(動物も人間と同様働いている世界。コメディタッチ)といった漫画を紹介して、最先端の生命科学に切り込んでいる。自由意思の存在に疑義を呈したリベットの見解にも触れてある。倫理vs科学技術については、ある決定に対して、その時点でなしうる最大限の議論を尽くしているならば、その時点で予測し得なかったことに責任を問えないと思うけど。2009/03/31
takao
1
ふむ2022/03/20
nagata
1
生命倫理学がメイン。しかし、その原点は「わたしたちの行動は、自分の自由な意志にもとづくもの」…そんな実態などあるのか?そんな傲慢なスタンスに立つから、人間の存在など自然の摂理からどんどん離れていくし、そういった高みからの「意識とは何か」などと哲学めいた思索をしてみても、何の成果も見いだせていない。同じ冒険をするくらいなら、生命原理そのものの何がしかを発掘するくらいのほうが面白い。2021/04/04
numainu
1
評価C2014/07/03