内容説明
正しい手順や方法が用いられないと、データは妖怪のように化けてしまうことがある。本書では、世にあふれる数字や情報の中から、本物を見分けるコツを伝授する。
目次
第1章 社会科学における「事実」認定プロセス(事実とは何か;帰納と演繹;社会科学における事実;社会科学界の事実とは)
第2章 マスコミはいかに事実をねじ曲げるのか(世論の誘導―ニュースの選択と比重;意図的な省略と曲解;表現と誘導;データの誤用と悪用;相関と因果)
第3章 実際にデータを分析してみよう―カフェインと心臓の健康度(トピックと仮説;結果に影響を与えるかもしれない変数;データ・プロセス;分析;可能性の追求)
第4章 質問票作りのむつかしさ(測定の妥当性と信頼性;用語と選択肢;順序とレイアウト)
第5章 リサーチ・リテラシーとセレンディピティ(「痴」は世界を駆けめぐる;学問に向いていない人々;「学ぶ」という楽しみ)
著者等紹介
谷岡一郎[タニオカイチロウ]
1956年大阪生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、南カリフォルニア大学行政管理学部大学院修士課程修了。同大学社会学部大学院博士課程修了(Ph.D)。専門は犯罪学、ギャンブル社会学、社会調査方法論。現在大阪商業大学教授、学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
この本はすばらしい本でした。最近のマスコミ(新聞やテレビを含めて)は本当に昔の精神を忘れてしまっているのでないでしょうか?忖度だけがあるような感じです。私も新聞はサンケイビジネスアイだけしか読まず、テレビもほとんど見ないのですがひどい状況に陥っている気がします。販売部数を増やすことだけと、広告をたくさんもらっている業界に対しての対応など見るにつけ本当に情けなくなります。この本ではそのようなことを含めて、何が大切か自分で判断していく習慣をつけることが大事であるという主張をしています。2018/07/18
Minamihama
16
読んでいて「牽強付会」という言葉を想起してしまった。 自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつけること。 終戦の日にNHKがそればかりを報道することを批判していた。2023/04/11
太田青磁
15
統計を社会科学の分析に用いる際に注意することがわかりやすくまとめられています。ただ自然科学も100%純粋ではないので、誤差に関する考察についても触れて欲しい。五大紙とNHKを左翼から右翼まで順番に並べているのが面白い。マスコミに対する厳しい論点は感情的にならないように指摘した方が効果的かもと。若干押し付けぎみな論調とリーダーとなるべきとのくだりは煩わしさも感じます。いしいひさいち氏への限りない賞賛と引用の巧みさが素晴らしいです。2013/06/15
Nobu A
13
社会調査の方法を平易な言葉で事例を挙げながら分かりやすく解説。帰納と演繹の調査方法や測定の妥当性と信頼性等の基本を押さえ、基礎固めに役に立つ。巷に蔓延る偏見を誘発するようなデータの事例を紹介し、本物を嗅ぎ分ける能力養成の必要性を提唱。筆者曰く、努力次第で入手出来る保証はなく、普段からデータをあらゆる角度から批判的に見る訓練をしないと不可能だと言い切る。ネットの普及で情報の洪水の現代の生活の中から本物を見分けるのは簡単ではない。いしいひさいちの4コママンガを随所に取り入れ、ユーモアのセンスあり、楽しめる。2017/04/15
aponchan
12
当たり前のことを分かりやすく解説した本。引用された、4コマ漫画は秀逸なものばかりでしたが、軽く読み飛ばすと本当の意味合いが分からないまま終わるものも含まれていて、本書を意味深いものにしていると感じます。 欲を言えば、表現は辛辣で楽しめるので、より具体例を増やし、読者のケーススタディ形式が多いと楽しめると思いました。2018/06/10
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- 和書
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