出版社内容情報
社会学の奥深さがわかる
「私」はもっと他でもありえるのかもしれない。
「私」はこんなにも社会とつながっているのか――
自分と世界の見え方が変わる!
なぜ「私」は、今のような「私」であるのだろうか?
他者との関係性からより広い社会的状況までに影響を受け、「私」という存在は複雑にかたちづくられている。
社会学のさまざまな観点からその成り立ちについて考え、「私」と社会をめぐる風通しをよくする手がかりを示す。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
52
相関係数が0・502ではっきりとした正の相関なのか?(31頁) うーん。そうでもないが。。重回帰分析の調整済みR二乗も0.040や、0.061などはそこまで因果がなさそうな気もする(36頁)。フーコーの『言葉と物』や、ベンサムの「パノプティコン」(一望監視装置)も出ていた。学校の権力(構造)の説明もある。だが、私は、兄がギャンブル依存症で、家族のお金や健康まで蝕んでいる。このような、信用できない人間を「監視」しているわけだ。2025/07/18
kuukazoo
18
中高生向けの新書にしては難しくないか?とはいえフーコーについてはかなりわかりやすく書いてあり勉強になった。社会と自己の関係について探求してきた社会学者たちとその考察について紹介。本当の自分なんてものは実はないのでは、実体というより関係なのでは、という考え方には揺さぶられるものがある。一度では把握しきれないのでまた読み返したい。2025/07/31
タカナとダイアローグ
17
難しい‥自己啓発の研究で知った著者。ゴフマンや就活の研究は気が気になる。「私」を説明する機会、必要って、社会の要請だよなって改めておもう。本当はbeingに説明不要だもの。巻末でも触れているとおり、ジェンダーやエスニシティによっても「私」の形づくり方は多様だろうと気になるところ。あと、AIが普及したら、自分っぽい受け応えをするAIが「私」をどう変えるのか気になる。また、AIをつかって、「論旨を変えずに、表現をその場にあわせる(過激な表現を柔らかくなど)」ことができたら、私が私じゃなくなっていくよな、と。2025/08/17
ぷほは
11
社会学でアイデンティティ論や自己論について述べる上での拡がりを、最新の動向までカバーしながら書いていて、非常に助かる。エリクソンやミード、ゴフマンやギデンズなどは分かっていても、フーコーやハッキング、ローズやトゥアンなどの議論を「自己」や「個人」の議論として位置づけていくというのは、抽象的だったり歴史から現代までの知識が幅広く要求されるので、系統立てて分類し語るのが難しい。本書は個別事例の研究にも言及しながらそうした困難な作業をきっちりやり通しており、初学者にどう説明すればよいかを丁寧に示してくれている。2025/04/20
YT
10
社会に合わせて自己がどのように形成されていくか、社会学の立場から眺める。 なぜ自分はこうなのか、自分っていったいなんなのか、などに悩んだことのある人にとっては面白いと思う。 加速する資本主義や脱宗教などの現代の傾向から自己肯定感を上げるないし自己啓発をして個人の人格崇拝を強固にしていく。だがそれはコントローラブルな人格を形成するためにしか機能していない。 さらに、SNSの普及でコミュニケーションや繋がりが向上化する現代では 多元症 がさらに複雑化しているのだと思う。2025/06/09