出版社内容情報
なぜ税を納めたくないのだろう?税は使途を選択し、払うことができる。税制の歴史、問題点や展望を見つめ、民主主義を実現するための税という仕組みを考える。
内容説明
税を納めたくない気持ちはどこから来るのだろう。税は使い道を選択し、払うことができるものだ。世界や日本の税制の歴史、問題点や展望を見つめ民主主義を実現するための税という仕組みを考える。
目次
第1章 私たちはなぜ税金を納めるのか(税とは何か;税は「近代」の産物―私たちに課税する権力(国家)は、どのようにして正当化されるのか ほか)
第2章 税制の歴史的発展(近代は税金から始まった―市民革命期のイギリス;国家にとって税金とは何か―19世紀ドイツの財政学 ほか)
第3章 日本の税制の発展史(前近代の税制;明治維新で税の仕組みはどう変わったか ほか)
第4章 これからの世界と税金(「経済のグローバル化」という難題―国境を越えられない課税権力;不平等化する税負担 ほか)
第5章 税金を私たちの手に取り戻す(主権者は財政支出をどのようにコントロールするのか;税は権力者による苛斂誅求の手段ではない―納税者主権の視点から考える ほか)
著者等紹介
諸富徹[モロトミトオル]
1968年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は財政学・環境経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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壱萬参仟縁
44
O図書館。足による投票:自分の自治体と近隣自治体の公共サービスを比較し、税負担に対して良質な公共サービスを提供してくれれば、そちらに引っ越すこと(13頁)。選ばれる、選ばれない自治体になるようだ。アダム・スミスは消費税には渋っていたことがわかる(63頁)。財務省や税制調査会はこの事実を知るべきだ。不平等だし、価格転嫁されて物価騰貴し、結果、経済に悪影響なので、経済政策として望ましくない、とスミスは喝破している!! 140頁の消費税の逆進性も重要だ! 142頁にあるように、単一税だけでは失敗だ! 2024/12/23
よっち
40
私たちはなぜ税金を納めるのか。税を納めたくないという思いはどこからくるのか。税制の歴史、問題点や展望を見つめ、民主主義を実現するための税という仕組みを考える1冊。ヨーロッパを中心に発展した世界の税制の歴史を紐解きながら、日本ではどのような税制が行われてきたのか、国境を超えて連携を始めた課税ルールといった最近の変化を踏まえて、主権者として税金をどう考えるべきなのか。アメリカのように頻繁な政権交代のない日本ではイメージしにくいですが、手段としての税の使い道を選択するような形はあってもいいのかもしれないですね。2024/05/30
kei-zu
21
税の意義と歴史的な変遷をわかりやすく解説する。市民革命以後の欧米の流れも興味深いが、日本の税制の発展史に紙幅が割かれており勉強になる。グローバル化が進み、国際的に協調が求められる中、税の性格も変わっていくとのこと。2024/06/15
Francis
16
租税と言う現代に生きる私たちの生活と切り離せない仕組みについて幅広く、そして出来るだけ分かりやすく書かれた本。近代社会では市民革命を通じて納税は人民の権利であり、税は国家に公共的な事業を実施してもらう対価として払うものである、と考えられていることを前提にして租税制度の歴史、経済のグローバル化・デジタル化により大企業の税逃れが加速しそれに対して対策が立てられつつあること、地球温暖化と対策としての税、これから税制・財政と民主主義はどのような関係にあるべきか、を論じている。詰め込み過ぎな観はあるけど是非一読を。2024/07/31
awe
8
相変わらず諸富氏の著作は面白い。一般に納税は義務とされ(日本国憲法でそう規定されている)、痛税感という言葉があるように、日本では「お上」に嫌々納めるものというイメージが強いが、しかし納税はむしろ市民の「権利」なのではないかという問題提起から始まる。例えば欧米では革命により政権を奪取したりと「下からの突き上げ」により新体制を構築することがあったが、翻って日本ではそのような経験はない。所得税や法人税の導入について欧米では一悶着あったが、日本はといえばそうした制度を真似して明治に導入しただけである。税制について2024/10/20
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