出版社内容情報
友だち同士の軽口とはなにが違うのか。あだ名はどういう時に問題になるのか。悪口を言うことはなぜ面白い感じがするのか。言葉の負の側面から、その本質を知る。
内容説明
悪口はどうして悪いのか。友だち同士の軽口とはなにが違うのか。悪口を言うことはなぜ面白いのか。負の側面から人間の本質に迫る。
目次
1 悪口はどうして悪いのか(人を傷つけるから悪いのか;悪意があるから悪いのか;人のランクを下げるから悪い ほか)
2 どこからどこまでが悪口なのか(口が悪い;お互い様;あだ名と悪口ライセンス ほか)
3 悪口はどうして面白いのか(笑いと悪口;悪口の脳研究;狩猟採集民の悪口 ほか)
著者等紹介
和泉悠[イズミユウ]
1983年生まれ。University of Maryland,College Park,PhD(博士号)。現在、南山大学人文学部人類文化学科准教授。南山大学言語学研究センター長。専門分野は、言語哲学、意味論。特に日本語と英語を比較しながら名詞表現を研究。また、言語のダークサイドに興味があり、罵詈雑言をはじめ、差別語、ヘイトスピーチの仕組みとその倫理的帰結についての研究も行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
25
言われると嫌な気持ちになるのについ言ってしまう悪口。そんな「悪口」を分析し解説してくれるのが本書。人間というのは相手をランク付けして自分が優位に立ちたい生き物だから、悪口と無縁ではいられない。結局のところ相手との関係性が大事で、お互い対等であれば、多少荒っぽい言葉であっても悪口には当たらない。一つ感心したのは、悪口には上位の者、例えば権力者の力を抑制するという働きがあるということ。それから悪口を聞いたらその場で指摘しないと、その場の雰囲気が「コレは有り」となってしまうというのにはどキリとさせられました。2024/10/27
ひめぴょん
20
悪口を哲学する本。なかなか面白い考察をしている本でした。結局のところ人に優劣はないということをきちんと意識できていれば悪口ではなく、事実を言っているだけということになるのかと。以下は文中引用。 悪口とは誰かと比較して人を劣った存在だということ。悪口は社会の中でしか存在しえない。悪口が悪いのは、序列を作り出し、誰かを劣った存在として取り扱うのは悪いことだから。とはいえ、人間は比較せずにはいられない。事実を数値化した記述によるランキングには優劣はない。そこに何らかの価値を加えると、優劣のランキングになる。そう2023/12/05
タナカとダイアローグ
17
ゆる言語学ラジオの意味論で知った和泉先生。深ーい理論的背景があって、平易な表現で記された「悪口とは」。この応用的・実践的書籍は、教育に活かしていかねばならん。とくに、悪口はランキングに関わるものだという主張から、人間関係ってものがいかに複雑かわかる。また、シーライオニング的(はじめて知った概念)振る舞いが賢そうにみえるのは害だと再認識。悪口を受け流すことで、同じカテゴリーの人たちすべてに迷惑をかけてしまうことを念頭に、毅然と振る舞わねばならぬ。権力者に使うわるはイコライザーとしての機能が有用。2024/12/02
活字スキー
17
大丈夫。ちくまプリマー新書だよ。というわけで、タイトルで興味を持ったらとりあえず読んで損なし。言葉は便利なもの、だからこそ取り扱いには注意しなければならない。誰もがいつでもどこでも好き勝手放題に言葉を垂れ流すことが可能となったSNS時代において、悪口とうまく付き合えるかどうかはとても重要なスキルだ。ただ口が悪いのとは違うのか。他人を攻撃することが悪いのか。様々な切り口でほどよく悪口というものを捉え直し、より適切に扱うためのやさしい手引き。2024/06/06
たぬ
17
☆3.5 結局は言う側と言われる側の関係性だなあ。AさんとBさんが一緒にいる場でAさんだけを褒める。すると褒められていないBさんは「私はAさんより劣っているんだ…」と思ってしまう。弱者をさらに貶める、踏みつける目的での悪口じゃなく強者に対抗するための悪口というのはいいなと思った。2024/02/11