出版社内容情報
私たちの心は型にはまりやすい。しかも、その傾向に利点と欠点が存在する。不安や衝突を減らすため、心の特徴を学ぼう。
内容説明
「不運は日頃の行いのせい」「天は二物を与えず」など、人間には「ついこう考えてしまう」クセがある。時には、そのクセが困った事態を引き起こすことも。その背景がわかれば、もっと心から自由になれるはず。
目次
第1章 人は、「結果」に対する理由がほしい
第2章 人は、秩序ある社会への強い想いを抱く―公正世界理論とは
第3章 人は、因果応報ストーリーを好む
第4章 人は、世界をカテゴリー化して理解したい―ステレオタイプ・偏見・差別
第5章 人は、そもそも予測できない将来はのぞまない―現状肯定の心理
第6章 「私」として考え、行動するために
著者等紹介
村山綾[ムラヤマアヤ]
1979年生まれ。州立モンタナ大学心理学部卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科博士前・後期課程修了。博士(人間科学)。日本学術振興会特別研究員を経て、近畿大学国際学部准教授。専門は社会心理学。集団や社会で生じるコミュニケーションの齟齬について研究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
18
原因帰属、公正世界理論(公正世界信念)、公正推論、集団バイアス、現状維持バイアスについて詳しく解説します。これら認知バイアスは個人から社会までの「階層」で整理できることを指摘し、情報のデータ化と可視化、ネガティブ・ケイパビリティ、目的論的思考法、言語によるコミュニケーションが認知バイアスの陥穽を暴き、善良な社会の構築へと繋げられると私は捉えました。異文化コミュニケーションの齟齬は私の専門領域にも関わる内容でありますが、これが原因帰属によって、どのように説明されるか等、得るものが多い1冊でした。良書。2023/03/16
テツ
15
思考の方向性や社会の見方、それに伴う世界との対峙の仕方にはクセがある。どんなに客観的に公平に全てを俯瞰しようとしても、それは主観に塗れている。あたりまえといえばあたりまえのことなのに、それを弁えてすらいない方々って山のように存在するよな。まずそこに気づくことと、意思決定を下すときに常に「これは歪んだ主観に塗れた視点なんだ」と自戒しておくことが大切。社会を眺める視線も、ジャッジする感覚も歪んでいる。それさえ忘れなければ、人がやらかしてしまう悲劇や過ちの大半をケアできるような気がする。2023/01/12
ちょこ
11
社会心理学から心のクセについて考える1冊。いかに私たちの物の見方がバイアスかかってるかということである。落ち度があったからひどい目にあったのは本当にそうなのだろうか。因果応報ストーリーを好むがそれは果たして正しいのか。公正世界信念を信じる利点は精神の安定である。一寸先は闇なんてなれば人は未来を信じるなんてできなくなる。故に大切なことであるが犯罪被害者への心ない誹謗中傷にも繋がったりする。人は社会で生きる生き物である。思考のクセも社会と密接に関わっている。社会心理学って面白い学問だなあ。2023/11/06
えりー
7
日記をかいて、客観的に自分の思考を見えるようにしよう。←思考のクセを自覚できても、このクセを変化や改善させたりするのが現実は難しい! 何十年も同じ考え方、同じ行動をしてきちゃうと新しいやり方を身につけるのは大変。でも、変わりたい、変化させたい!って思い続ければ少しずつ違う自分の考え方が出来てくるかも?どんなことでも、簡単なことよりも少し難しいことに挑戦したほうが、満足感や達成感は大きい。2024/02/19
ソーシャ
6
公正世界信念やシステム正当化理論など社会を見るときに陥りがちな考え方についての社会心理学の知見を(中高生でもわかるように)解説した新書。理論だけでなく、実証的な根拠やそこから発展して得られた知見まで紹介しているのも嬉しいポイントです。はっきりと明示されてはいないのですが「社会の分断」が問題になる時代だからこそ、それを生む心理学的メカニズムを伝えようという著者の思いを感じました。2023/01/10
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- 和書
- 殺手(サーソ)