出版社内容情報
「みんな、そうしているよ」「ルールだから、しかたがない」「先生がいってるんだから」この発想がいかに危険なものなのか、政治、思想、歴史から解明します。
内容説明
理不尽な出来事に見てみぬふりをしていませんか?誰かのいうことに従っていても、世の中は解決しない問題だらけ。打開するには自分で声をあげるしかありません。そうしたあなたに勇気と思考を与えます。
目次
第1章 人はなぜ服従しがちなのか
第2章 忠誠心は美徳か
第3章 本当に「しかたがない」のか
第4章 私たちは何に従うべきか
第5章 どうすれば服従しないでいられるか
第6章 不服従の覚悟とは何か
著者等紹介
将基面貴巳[ショウギメンタカシ]
1967年神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。英国シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了(PhD)。ケンブリッジ大学クレア・ホールのリサーチフェロー、ブリティッシュ・アカデミー中世テキスト編集委員会研究員、ヘルシンキ大学歴史学部訪問教授などを経て、ニュージーランド・オタゴ大学教授。研究領域は政治思想史。英国王立歴史学会フェロー、欧州アカデミー(Academia Europaea)外国会員。著作に『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
98
ちくまプリマー新書のリツイートで知った本。図書館本 池上彰の教養のススメを併読しながらだったので既存ルールへの不服従、良心・公共の福祉への服従(これが本書のテーマ)のためにあるのが大学で学ぶ一般教養なのだなとおもいながら読み終わりました。 自己責任の名において良心への不服従、既存ルールへの服従を続けていたら…、「自分がコロナに罹ったってそん時のこと!」という態度で周りへの感染を広げることに…!あなたの自己責任のせいで家族や友人の命が脅かされるのですよ。2022/03/20
molysk
72
権威から理不尽な要求を受けたとき、わたしたちはどうすればよいのか。権威に従えば、周囲と同様に振舞うことで安心が得られて、責任を回避できる。人間は権威に従順になりがちだ。しかし、わたしたちは自身の良心に問いかけて、社会全体にとって善いことかどうかを判断することができる。服従や従順に代わりに、不服従や抵抗を選択することができるのだ。不服従の果ては、自己の信念を貫き通し、その結果を引き受けながら努力を続ける、苦難の道だ。それは、ウェーバーが「職業としての政治」で、政治を「天職」とする人間に求めた姿勢でもある。2022/01/23
venturingbeyond
55
本務多忙な9月、同時並行で乱読しながらも、なかなか読み終えられず、ようやく1冊目を読了。『言論抑圧』でも通奏低音として流れていた「従順さ、忖度、自発的隷属...」といった問題圏を、プリマ-新書の想定読者である高校生あたりにリーダブルな叙述でまとめた一冊。西洋政治思想史専攻の著者ゆえ、自立(そして自律)した「強い」市民として権力とどう向き合うのかという近代政治思想のメインテーマを、ギリシャ悲劇から名作映画、昭和歌謡の歌詞まで縦横に引用しながら論じていく手際は、さすがの一言。2021/09/19
活字スキー
31
中高生にも読みやすく平易な文章と豊富な例を用いて「従順である」とはどういうことかを説く良書。それは美徳か?自分はそうは思わない。少なくとも、他人に対して「従順である」ことを要求するような人間も、自らが「従順である」ことをひけらかすような人間も、共に人間という存在を家畜以下に貶めようとする悪だと思っている。一人ひとりが「自分が自分らしく生きること」を誇れる社会でありますように、より多くの人に読まれてほしい。 2021/10/16
崩紫サロメ
30
「権威」として現れる存在に服従することや、従順であることが要求される状況はすべて「政治」であるとし(p.11)、「服従」や「従順さ」、それと対置する「不服従」「抵抗」について論じる。ミルグラムの『服従の心理』、アーレントの「悪の凡庸さ」、ハーシュマンの忠誠の理論(「離脱」と「発言」)、また『論語』に見られる「諫言」の思想など、古今東西の書物の中から「従順さ」/「不服従」がどのように語られてきたかをわかりやすく紹介する。重点は後半の「共通善」の部分なのだが、こうした切り口はなかなか面白かった。2021/10/29