出版社内容情報
家族にも教育の機会にも恵まれず、コンプレックスだらけだった500年前の一人の青年が、なぜ名画を遺し、近代文明の夢を描く「天才」と呼ばれるに至ったか。
内容説明
五〇〇年も前に生きたその人は名画を遺し、近代文明の夢を描いた「万能人」と呼ばれる。しかしその素顔は、不遇と失敗に苦しんだ青年だった。一生涯を通じて苦悩しつづけた「天才」のドラマを追う。
目次
第1章 ルネサンスと共に誕生した人
第2章 若き日のレオナルド
第3章 万能性の開花
第4章 その暮らしと人となり
第5章 作品を読み解く1 『最後の晩餐』―レオナルドの試行錯誤を辿る
第6章 放浪の日々
第7章 科学と思想
第8章 作品を読み解く2 『ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)』―レオナルドが辿り着いた世界観
第9章 晩年―旅の終わり
著者等紹介
池上英洋[イケガミヒデヒロ]
美術史家・東京造形大学教授。1967年広島生まれ。東京藝術大学卒業、同大学大学院修士課程修了。専門はイタリアを中心とする西洋美術史・文化史。著書多数。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ROCKDOWN
11
レオナルドは画家、彫刻家として知っていたが、他にも軍事工学技師、建築家、演出家として活躍、さらに数学や解剖学、天文学、飛行研究などで成果を残していると知り驚いた。どんだけ〜!という感じ。 しかしそれより驚いたのは若い頃は普通の人だったということ。好奇心と努力と執念、そして謙虚さによって普通の人が万能の天才にまで上り詰めたのである。まさに「努力の天才」だった。 ただし好奇心が強すぎて目移りし、最後まで辿り着かないのも人間味があって面白い。 2022/12/10
ジュンジュン
11
レオナルドダヴィンチを、代名詞"万能の天才"ではなく、分裂状態のイタリアが生んだルネサンスの申し子として描く。私生児として生まれたハンディキャップから始まり、30歳までは芽が出ず、ミラノで開花。でも、軍事技師として。劣等感や挫折に負けず挑戦し続ける姿は、まさに"努力の天才"。未完成作品が多いのは、遅筆だけでなく、芸術家としてなかなか独り立ちできなかった事も関係しているのかなと思えた。2021/01/26
多喜夢
8
今年の1月、代官山の「夢の実現展」で、最後の晩餐の映像を見ていたので興味深く読みました。当時の資料が結構残っているのに驚いたこと。モナリザの背景の風景画は水の循環を表していること。レオナルドは舞台演出家でもあったことなど、はじめて知りました。2020/07/28
takakomama
6
レオナルドの興味の対象はとても幅広いです。「万能人」というより「努力の天才」 最新の情報も盛り込まれ、わかりやすかったです。最後に絵画の解説付き。わからないことに対して仮説を立てるのは、わくわくしてロマンも感じます。2020/11/02
舟華
5
有名なのに意外と知らない偉人を少し知ってみようと思って手に取る。学校教育を受けていれば知らない人はいないであろうレオナルドダヴィンチ。その有名さと天才性を目の当たりにするとどんなに恵まれた人なのだろうか、と思いきや、実は彼は不遇の人だった。彼の生まれ育った環境と性思考によって母性を強く感じる女性を描くことができるようになったのかもしれない。知れば知るほど実は全然知らなかった深い人。お金に恵まれていた人ではなかったんだなぁ。意外。2021/04/18
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