出版社内容情報
イネは奇妙な植物だ。その種子コメに魅せられた人間とイネの深くて長い関係を、植物学から歴史・経済まで分野を広げて考える。
内容説明
植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深くかかわりその生活や歴史までも動かしてきた。イネとは何か、なぜ人を魅了してやまないのだろう。その秘密にせまる。
目次
第1章 米って何だ?(お米はイネの種子;米は芽を出すか? ほか)
第2章 イネという植物(イネとはどんな植物だろう;日本の米と世界の米)
第3章 田んぼというシステム(水浸しの平野;田んぼに水を入れる理由 ほか)
第4章 米で読み解く日本の歴史(日本の米がやってきた;東日本にイネが広がらなかった理由 ほか)
第5章 米と日本人(苗字はイネの苗;ひな祭りも子どもの日も田んぼの行事だった ほか)
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
36
親類ご近所共同の手植えの情景知る最後(?)の世代としては、後半の文化論は失われしものへの哀惜と読めるけど、米が余り減反始まって一世代、無理はあると思う。そこは差し引いて、イネという作物について一通り学べるプリマ-らしい本でした。2020/09/11
鯖
26
もちは血糖値が早く上がり幸福感を得やすいのでハレの日の食べ物になった。田んぼに水をいれるのは雑草対策になり、水が有害物質や余った栄養素を流すため連作障害が起こらない。ケイ素を含み、ガラスのように硬いせいで、葉の栄養価は低い。稲は花を大家させ、三つの花を統合して、一つの花を作ることで少数の大きな種子を作る。熟しても地面に落ちない非脱粒性をもってしまった突然変異が小麦と稲の元であり、人間の大発展の大恩稲。面白かった。2021/05/19
タルシル📖ヨムノスキー
24
手に取ってみたら、以前読んで面白かった〝たたかう植物〟の著者さんの本でした。この本はイネ(米)を様々な角度から取り上げた新書。まずはお米とはそもそも何なのか、どんな種類があるのか。次にイネを植物学の視点から解説し、水田という栽培法に触れ、日本の歴史とお米の関係。最後は日本文化とお米にまつわるエッセイまで、幅広い内容が収録されています。本筋とはズレるけれど学名がなぜラテン語なのかという話は、目から鱗でした。それから江戸時代の「石(こく)」という単位、「一石はひとりの人間が1年間食べるお米の量」というのも。2023/04/15
こも 零細企業営業
23
そういえば、イネを中心に据えた歴史は読んだ覚えは無かった。連作障害が起こらないプロセスにも納得。水って重要だよな。。2020/07/12
はじめさん
22
2019岡山西大寺ビブリオバトルチャンプ本。イネ、すなわち米。我々日本人にとっては主食たるこの植物の歴史を紐解く。/ イネは動物に食われないように背を伸ばして、成長したらさっさと穂を地面にまいて次世代にDNAを繋ぐよう進化したが、大型畜獣は穂ではなつ茎食えるようにこちらも進化。ある日人間が穂がバラバラ落ちない突然変異種を見つけた。これによって穂(米)を食い始めた。短足のあけぼの。田んぼアートなんかに使われる古代米は赤い。アルビノ化したものを固定して現在の白米に。/ 田んぼは自然ではなく人工物。アグリパンク2019/09/29