出版社内容情報
幸福とは何か。私たちは何のために生きているのか。永遠不滅の謎を、数々の思考実験を通して解き明かす。思考力を鍛える倫理学入門。幸福とは何か。私たちは何のために生きているのか――誰もが一度は心をつかまれるこの問題を、たくさんの思考実験を通して考えよう。思考力を鍛える倫理学入門。
森村 進[モリムラ ススム]
著・文・その他
内容説明
幸福とは何か。私たちはなんのために生きているのか―誰もが一度は心をつかまれるこの問題を手がかりに、「世界」と「自分」との位置関係の読み解き方を学んでみよう。たくさんの思考実験と練習問題を通して、自分の頭で考える力が身につく倫理学入門。
目次
序章 本書は何をめざし、何をめざさないか
第1章 快楽説―幸福とは快い心理的状態のことだ
第2章 欲求実現説―欲求が満たされれば幸福になれる
第3章 客観的リスト説―幸福を構成する要素が複数存在する
第4章 折衷説―これまでのどの説も部分的にしか正しくなかった
第5章 幸福と時間―幸福度判断の時間的単位と時間の向き
最終章 あとがきに代えて
著者等紹介
森村進[モリムラススム]
1955年、東京生まれ。東京大学法学部卒業。現在、一橋大学教授、日本法哲学会理事長。法学博士。専門は法哲学。日本におけるリバタリアニズム研究の第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(haro-n)
83
筆者も断っているように、この本は読者に幸福とは何かを啓蒙するものではなく、思考実験を通した哲学的なアプローチを「幸福」を題材に展開したもの。基本的な三つの説から始め、各々の長所と短所及びそれらのバリエーションとして限定条件を加えた場合の妥当性、発展形としての折衷説、一生全体の幸福をどう考えるかという全体論…に至るまで「幸福論」の分析的な考え方の流れを要領よく説明している。私のような初学者には、サラッと説明され過ぎて熟考すべき問題意識や関心は持ちづらいかもしれないが、手法の初歩的なものが理解できる良書。2019/03/06
テツ
30
著者による「幸福とはなんぞや」というテーマの思考実験を追っていく。パーフィットが提示した幸福の三つの在り方について考えるうちに、幸福は人それぞれ千差万別であるというあたりまえのことに気づく。幸福な状態やそこに至るための過程というものにスタンダードな形は存在しない。人は幸せになるために存在しているという考えは個人的にわりと好きなんだけれど、そのためには誰の模倣でもなく誰の価値観に寄り添うものでもない、自分なりの幸福を自分で創り上げなければならないんだろうな。良い本でした。2019/06/21
buuupuuu
22
本書で扱われる「幸福」は、「効用」や「福利」とも言い換えられ、「特定の個人にとってそれ自体として善い物事」を意味している。社会道徳や公共政策にも関わってくるような話題である。「幸福」ということでどんなことをイメージしているかで、考えが変わってきそうだと感じた。1回の食事と人生全体を、同じ枠組みで考えられるだろうか?著者も時間的単位の使い分けに言及している。現代は常に反省的、懐疑的であり続けることが求められるような時代だから、幸福もまた、確定した答えには至らず、延々と問われ続けて行くのだろうと思ったりした。2025/03/13
ステビア
21
ざっとめくっただけ。幸福を哲学的に考える。2021/10/12
izw
8
最近「幸福」に関する著書を立て続けに読んでいたもので、近くの小さな本屋「往来堂」で「幸福とは何か」というタイトルの新書を見つけ、思わず購入してしまった。「幸福」について古くから議論されてきた様々な哲学的考察が整理され、今後考える材料を与えてくれる。「快楽説」「欲求実現説」「客観リスト説」と大きく3つの考え方を示し、それぞれのメリット・デメリットを挙げた上で、それらの折衷説、時間との関係について論じている。「幸福」についてはある程度分かったつもりでいたが、まだまだ奥が深い議論があることを再認識させられた。2018/11/08