出版社内容情報
「この小さなノートを残さねばならない。あらゆる日本人に読んでもらわねばならない」。敗戦へと向かうなかで綴られた日記。分量は45頁ほど。1945年3月11日から始まり、大部分はフランス語で書かれている。そこには、国家への絶望と希望のはざまにあって、一人の文学者がいかに苦悩し、いかに正確な判断を下そうとしていたか、生々しい声が記されていた――。本書は、日記全文の翻訳に、串田孫一宛書簡と関連の文章15篇を加えたほか、戦後数カ月分の日記も収録。日記の原文は口絵に収めた。
【目次】
Ⅰ
敗戦日記
続敗戦日記
Ⅱ
串田孫一宛書簡
Ⅲ
葦芽の歌
羈旅
素月を信ずる心
愛されない能力Unbeliebtheit
書痴愚痴
祈願
一九四六年の跋
東条元首相の写真
過激で愚劣な夢
銀杏によせて
『凱旋門』読後
非力について
『きけわだつみのこえ』の序
二十年後のめぐり会い
出隆先生のこと
解題 渡辺先生の『日記』について 二宮 敬
跋 串田孫一
戦争との闘い 『渡辺一夫 敗戦日記』 串田孫一
解説に代えて 宮下志朗