出版社内容情報
中世にこそヨーロッパの核心がある。理性と信仰の調和を求める思考はいかなる政治思想を形づくったか。近代に対する視座をも与える類まれな講義。
内容説明
社会とは神が人間に与えた秩序であり、その安定と維持こそが中世キリスト教世界における政治であった。ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という二つの中心が社会的機能と責任を担う。だが、時に激しく対立し、グレゴリウス改革や叙任権闘争を極点として、統治の本質が根底から問われる事態へと発展する。聖書解釈に基づく両者の理論対決は、政治思想の錬磨を促さずにはおかない。普遍的で超越的なものを志向する意志と密接不可分な「合理性」がここに芽生え、やがてそれがヨーロッパ人の思惟構造を形づくっていくのである。中世の核心を伝えるだけでなく、近代の性格をも照らし出す類まれな講義。
目次
序章 日本人にとってヨーロッパ中世とは?
第1章 ヨーロッパ・キリスト教的政治圏の成立(権力正当化原理としてのキリスト教;キリスト教社会の成立―西ローマ帝国の復興;キリスト教と政治)
第2章 「普遍」の確立(グレゴリウス改革・叙任権闘争;普遍的秩序)
第3章 「特殊」の発生と展開(アリストテレス政治哲学の影響―「種」の自己展開は善である;法―普遍と特殊の結節点;封建王政の独立―政治的「特殊」と「普通」のパラドックス;マルシリオ・パードヴァ)
第4章 中世の終わりの始まり(公会議運動―その政治思想的意義;教会の政治化)
著者等紹介
鷲見誠一[スミセイイチ]
1939年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専門は中世ヨーロッパ思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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